■平成ムーミンについて考えていました。
高山さんのムーミン、大塚さんのパパ、かないさんのフローレン、隆聖さんのスニフと重鎮ばかりです。ふと、昭和版のようなスナが異端者だったような、「崖」を感じないなと思いました。
昭和ムーミンは、いわゆる昭和の空気が濃いので、異端者にあたりが強いです。平成になると、皆の自由度が増したのか、相対的にスナの異端ぶりが減った気がします。
というか昭和版のミイの横暴な部分と、トフビフの窃盗ぶりに慣れないままでした。ミイは「あえて強く出ている」「なめられたくないだけ」「実は優しい子」「実は女らしい」とかあれこれ手を尽くして描かれているんですが。
トフビフは。ある意味一番難解なキャラかもしれません。昭和版だと単なる無邪気さの象徴なのかもしれません。原作者こだわりのキャラだったそうなので、ジッと見つめて理解しようとしたのですが。(一応小説も読んだ)
■細雪で一番無下にされている男、板倉が亡くなりました。細雪中巻を読み終えました。
妙子の洋行志願、東京行き等は下巻の雪子の最後の見合いとも違う、スリルに満ちていて一気に読めます。ただし誰も幸せになりません。
幸せになった?のは、板倉と妙子の結婚が絶望的になった事に安堵する、幸子一家でしょうか。人の死で安堵を得るという自分に幸子は幻滅していますが、下巻では妙子のお腹の子にもほぼ「死」を幸子達は宣言しています。恐ろしい。
以下雑感です
・板倉はそんなにひどい奴だったのかと思う。コミュ力が高いだけの、がさつで迷惑な男だったとも言えそうだが、交際は広かったし、妙子のために命がけだった事は本当だと思う。
ただし
雪子の言うように、蒔岡家の財産狙いだったのか。妙子との新生活なんかどうでもよくて、妙子がまとまった金を義兄から得たら、金を持って逃げるつもりだったのか。よく分からない。
奥畑の乳母が言うように。板倉が、妙子と奥畑の交際を金銭面で喜んでいた事は事実だと思う。奥畑の財産以外、妙子に頼る金づるはないのだし、妙子の性格からして、質素な暮らしは向いていない
本当は幸子と同じくらい、妙子も若やいで派手な生活がしたいのだろうと思う。資産家の末っ子なのに妙子の扱いは永遠にひどいが、雪子の行かず後家・実はお金第一な性格が永遠に妙子を苦しめている。
板倉は確かにとんでもない奴だったかもしれないが。その上をいく、とんでもない奴それが雪子だと思う。蒔岡家が名声を気にする以上、雪子の結婚話が永遠に劇中のキーなのだが、「いい話」でも遠慮なくぶち壊す雪子に、幸子も下巻でキレている。
しかし谷崎の愛は雪子のものであり、妙子については年増だの、芸者なら老妓など、兎角あたりが強い。そんななので、雪子がいい思いをしかねない下巻より、中巻の方が好きかもしれない。下巻の方が長いけど。
妙子に説教をする、下巻の雪子は好きになれない。妙子の振る舞いはあんまりと言えばあんまりだが、行かず後家を通し過ぎて、ある意味蒔岡家の首を死ぬまで締め付ける雪子には、なんの天罰もない(しいて言えば下痢くらい?) |
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