荷風の「腕くらべ」を読んでいます。長さが手頃で、たまに息抜きに読んでいます。箇所箇所、「ああこれは検閲の対象になるよ」と思われる部分も少なからずありますが、読んでいて少しも不自然ではありませんし、むしろ高尚なものにすら感じられます。
「腕くらべ」を読んでいると、荷風は、例えばゾラとは違う作家なのだなと思います。フランスの自然主義小説の方が荷風より早い時期に席巻しましたが、フランスのものは印象として悲惨な最期を迎えるヒロインが多い気がします。
自然主義と言っても「居酒屋」「ナナ」「脂肪の塊」くらいしか読んでいませんが、書き手がヒロイン達を一時的に持ち上げる箇所はあれど、彼女達を心から哀れむ事は希ではないでしょうか。
書き手としての荷風は、自分の書くヒロイン達が好調な時には彼女達にそっと警告をし、苦しんでいる時には、その苦しみがほんの一時的なものであるようにと、話しかけている様な気がします。
(新興の花街だった新橋の様子、さらに古い東京の花街の数々が文学作品に残っているが、十二社(新宿中央公園の辺り)に通ったという人の話を未だに読んだことがない。どんな色合いの花街だったのか知りたい。)
週末に描いた原稿を見直していました。なんか、一と零二が新宿でイタズラが過ぎたら、凛太郎に吹一人が折檻されてそうかなと。吹は、そんな時くらいにしか凛太郎との接点が持てないのか、そんな機会であっても心底大事にせざるを得ないほど、凛太郎の風下にいるのか。
新刊の全体の長さは50枚前後にしたいと思っています。それ以上長いと、個人誌にしては厚すぎて引かれそうなので。前のジャンルの反省から、「サッと読んで楽しんでもらえる本を」と思っているのですが、余り変えられず困っています。
最近、相川七瀬のアルバムを聞き直しているので、余計に何かしたくなり、「もうこのネタは余裕を見て来春に回そう」とか思う話もあります。この曲は一に合う?とか思うとゾクゾクします。(こまっちゃくれた、憎らしいほど可愛い感じがいいと思うんだけどどうだろう。もっとも一はちゃんと男らしい部分もあるし、私が単に自分の好みを一に押しつけているだけなのかもしれない。)
平成23年10月17日 竹淵 拝 madeingermany193☆yahoo.co.jp ☆→@ |
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