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...... 2012年05月27日 の日記 ......
■ 黒いユーモア   [ NO. 2012052701-1 ]
東野圭吾「怪笑小説」を読んでいます。氏は理系ミステリー作家と紹介される事が多いですが、ブラックユーモア作家とも時々呼ばれます。「○笑小説」シリーズを読む限り、ブラックユーモアの色合いの方が、この方らしいのかなと思います。

短いブラックユーモアを連発するよりも、映画やテレビドラマ向きの長編の方が実入りがいいと思いますが、わずか数枚の小説でしっかり1つの世界が築けるのだから、なんだかなあと思います。氏は長編小説にも優れたものが多いと思いますが、劇中で紆余曲折あれど、結末がブラックユーモアと理解出来るものも多いので、やっぱりクロイのが氏なんでしょうか。



(長編だから結末がハッピーエンドだとは限らないのだけど、分厚いハードカバー本を延々読み込んだのに、「白夜行」で亮司が若いまま死んでしまった展開には、唖然とした。唖然とさせるのも氏の特技なんだが、もうクロイとしか言いようがないなと時々思う。

自分も、そんなに楽天的な方の人間ではないので、クロイものが好きかもしれない。でも弱虫なので、本当にクロイものはダメだったりする。ほどほどにイライラする黒さが氏にはあるので、それが自分に合っているのかもしれない。)


氏の書く「嫌なもの」、例えば教師全般とかと、私の「嫌なもの」との付き合い方は似ている気がします。もっとも私は自分の「嫌なもの」に対し、大してアクションしませんが。

氏の書くヒロインが、きついダイエットや美容整形、医療等で自分の体を変えてしまったり、誰かを殺傷してまで、自分の欲望を満たそうとしたりする所に毎回イラっします。「嫌なもの」、例えば太ってみにくく、愛されそうにない自分や、変えられない過去を背負って生きなければいけない不安や苦しみは、やっぱりそうしないと根本的にはなくならないんでしょう。

自分の過去を知っている人間を殺傷したくらいで、自分の未来が変わるとは到底思えないんですが。(氏のヒロイン、美冬と雪穂はそういう生き方を好んでいるけど)彼女たちの「別の人生を歩みたい」という衝動に正直な所には、クラッとします。


(「秘密」の普通の主婦だった直子は、あり得ない方法で若い体と、理想的な男性との結婚生活を得たわけだが、数年後に、もしまた不満を覚えた場合どうするんだろう。やっぱり、また「別の人生」に乗り換えるべく、無茶をするんだろうか。死ぬまでそういう繰り返しをしてしまうってのは、それはそれで、与えられた人生に耐えて生きる生活と、同じくらい辛いと思うんだが。)


平成24年5月27日 竹淵 拝
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