あんまり二次創作でカップリングものを「書けたぞ」と思うためしがないんですが、多分「不安定な右を大人な左が包んでくれる」妄想が好きなせいだろうと思います。不安定には違いないけど悪辣なキャラばかり好きになって来たと思います。
ミラクル☆トレインは例外で、式で大人しく優しいキャラが多くまるで兄弟の様なカップリングものを書けて幸せでした。(元来甘え上手な末っ子の一にしてみれば、生まれた時初めて見た相手であるだろう兄の吹が親同然で、ある意味全てなんだろうと思う。果物の一番甘い部分を譲ってくれる相手。ならわざわざカップリングじゃなくていいじゃないという突っ込みになるなあ。)
ルザ高は、カップリングなんていう口当たりのよいものじゃなくて。リキッドとパプワ・コタの「しばかれる家政夫」のさらに斜め上な、愛情も親しみも、憐憫も同情もない関係でいいと思うんですが。それじゃあ高松が可愛そうなので、「可愛がって頂いた」という本人申告を生かそうと思います。
ルザ様なので安易な妄想を許さない方です。なので、こう思いました。
■大丈夫、戦前の日本の女性だって高松くらいの仕打ちは受けていたから、苦しい目に遭うのは高松だけじゃない(性別も生まれた時代も異なるのに何が大丈夫なのか) ■ほら、漱石の奥さんの鏡子さんだって色々あったじゃない。漱石が偏屈な上に金回りがよくないし、子供は増える一方だし、弟子は弟子で多過ぎるし、漱石と漱石の義父母・父母の関係ってまさしく「道草」だし。(いやだから、高松は20世紀生まれの一般男性だから)
■漱石の笑える挿話の一つに、鏡子さんが妊娠している時に、「子供ばかり産む」と知人に漱石が愚痴って、「そりゃ君のせいだ」と漱石が言われたってのがあるから、夫婦仲はよかったと思っていいのでは。「道草」「猫」でも夫に言い返したり、先回りする妻の図があるから、漱石が怒りにまかせて小説を書いたんじゃないとすれば、やっぱり奥さんと子供達の事が好きだったんだよ。(ルザ高に関係ない。)
■大丈夫、大丈夫、子供の大切にしていた植木鉢を庭に蹴飛ばして落として壊して泣かせたり、死後「夫の脳を調べて下さい」と医師に言った程妻を悩ませる人がいたのだから。
(漱石は酒を飲んで暴れたり、機嫌が悪いと本当に周囲の人がびびったらしい。生涯鏡子さんだけを側においていたのは本当だけど、ロマンチックな恋に憧れはあれど、積極的にアバンチュールを求める男じゃなかったのも本当。金も時間もない男だし。)
■そんな漱石がイギリス留学中に手紙で鏡子さんに「お前に会いたい」と書いたり、鏡子さんも子供達には漱石を立てていて、今でも2人は雑司ケ谷の一緒のお墓で眠っている。
有名な話だと、「坊っちゃん」の清への愛情や、「明暗」の裏ヒロインの名前が「清子」であるのは、漱石の鏡子さんへの愛情じゃないかと言われている。身近な事を題材にしている漱石とはいえ、はっきりものをいう女性達をよく小説で書いているので、似た傾向を持つ鏡子さんを心から愛していたと思っている。漱石って「I LOVE YOU」を「月が綺麗ですね」と訳した男なので、愛されている方とすればじれったい相手。
谷崎みたいに女性を理想化して迷走したり、荷風の様に全く客観視する事もなく、漱石が血肉を持つ「女性」を書けたのは生母、義母、義姉の影響もあるだろうけど、ずっと近くにいた鏡子さんの力だと思う。
何が言いたかったのかと言いますと。
キンちゃん(※幼少)と高松は、ルザ様がキンちゃんの夏休みの自由研究で育てていた朝顔の鉢を蹴って壊しても、立ち直るんじゃないかなと思うんです。ルザ様の小鳥を握りつぶして殺した場面は何ともフォロー出来ないんですが、そんな機嫌の悪いルザ様にへこたれないんじゃないかなと、キンタロー坊ちゃまと高松は。
(高松&キンちゃんの書きかけの論文が気に入らなくて修正どころじゃなく破いたり、高松&キンちゃんを実験のサンプルに年中していると思う。キンちゃんは小さい頃からルザ様に結構な訓練を受ける気がする。)
高松一人じゃなくてキンタロー坊っちゃんを加えて考えるのは、ルザ様が高松を本当に側に置くようになったのは、キンちゃんの出生後だろうと思うからです。ルザ様存命パラレル的に。高松はルザ様の癇癪持ちな部分を知っているので、ルザ様が過ごしやすいようにしていると思います。機嫌が悪ければ何をしても駄目でしょうが、少なくともルザ様がキンちゃんにあたらない様に工夫すると思います。
問題はキンちゃんが「お父様は高松が嫌いなんじゃないか」と思うかどうかです。本気でそう思えて、お父様が嫌になる時もあるでしょう。ですが、仕事でしばらく家を空けて帰ってきた時の、お父様の高松への表情を見れば多分大丈夫でしょう。高松がキンタロー坊ちゃまに、「お父様よりキンタロー様の方が大人ですね」と微笑みながら言っていそうな日常。 |
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