夏インテで出した新刊でグンマに、キンちゃんに対し「一族は一族同士」と言わせました。黒い瞳、黒髪の香川県出身一般男性に傾きがちな従弟のキンちゃんに従兄のグンちゃんが警告した体にしましたが、嫌味でも皮肉でもなく、実際そうだよなと思いました。
一族の男が長ずればガンマ団の幹部になります。一般女性と知り合う機会は皆無でしょうし(いやいや・・・)、女性団員はいません(・・・)。遠縁の女性も彼等にはいません(おい)。消去法かどうかは知りませんが、一族が恋の相手に一族でない人間を選んだ場合、相手は「ヒラ団員」になります。医者とか科学者とか肩書があっても、ガンマ団なので一族以外は「捨て駒」と考えていいと思います。
グンマに言わせた様に、「一族は一族同士」の暗黙の了解を越えた場合、「大将と雑兵」くらい立場に差があるカップルになります。するとどうなるかと言うと、雑兵は雑兵の生き方しか出来ませんが、大将は雑兵を気にしてしまい指揮が取れないかもしれません。「完全破壊」とか普通に口にされる世界なので、一族以外は粗末な待遇です。一族なら恋の相手に一族を選ぶしか、平穏無事な恋をする事が出来ません(心理的なズタボロ具合は別として)。
キンちゃんのお父さんは、生前そんな悩みを抱えていたのかなと思いました。サビやハレではない男の子の、自分達と全く違った価値観を知って、側に置いておきたいと思ったのでは。自分の立場上その子を危険にさらす様な事もしないといけなくて困惑した事があったとか。恋かどうかは分からないけど、青の一族でもない、科学者でもない、兄でも弟でもない自分を見つけてくれた子を、少しは大事にしていてくれていたかなと思います。
ルザ様の心の揺れは、一族以外の子を愛した事に始まると思っています。一族の中で暮らすのがグンマの生き方で、グンマはいざという時に高松を切り離して、彼を楯にしてでも生きていくと思いますが(※高松はグンマをそういう風に育てているし、グンマの捨て駒になら進んでなる高松)、キンちゃんはお父様と同じ様に、心の揺れを大事にして生きていくんじゃないかなと思います。
(こう書くと新生ガンマ団の安直な明るさが便利に思えるけど、新生ガンマ団って、後ろ暗い部分をマジック・ハレ・高松等が被ってくれたから成立するものだと思う。高松とするとキンちゃんには自分の方なんか見ないで、あくまで「新総帥の新米補佐官」として振る舞って欲しいのでは。お父さんと高松が積み重ねた「必要悪」なんて、キンちゃんは無視して生きて欲しいのでは。グンマがそうなんだから。でも高松大好きなキンちゃんがいいなあ。)
以下重箱の角を突く様な事を書きます。
■PAPUWAの始まりの終わり島でサビがキンちゃんをして「暴走している」と言うんですが、自分にはキンちゃんが「暴走している」とは思えません。いきなり上半身裸になるくらい怒る状態は「暴走している」と言えますが、キンちゃんは最初に眼魔砲を撃つ時に、マジックの許可を求めています。
キンちゃんが最大でどのくらいの規模の眼魔砲を撃てるのかは分りませんが、ルザ様の様な草木一本残らない様な撃ち方は生来的にしない様です。「出来ない」というより「したくない」のではと。シンタローに体をジャックされていた時の、マジックから間接的に受けていた愛情のためと、「出生後」に高松から注がれた情愛のために、かなり優しい子になった様です。
■サビをうがつ訳じゃないんですが、サビなのでキンちゃんに対し、「私を傷つけた男の子供だからそんなもんだ」という意識があるような気がします。キンちゃんの新生ガンマ団における仕事ぶりについては、サビは仕事嫌いなので興味なさそうですし、サビにとってキンちゃんは「私を傷つけた男の子供」という以上の意味はないんじゃないかなと思います。グンマも「私を傷つけた男(=マジック)の子供」、高松も「私を傷つけた男の部下」。
サビにとって周囲の男達は使役するものなので、キンちゃんが唐突で的外れな見方をされても別に悔しくなんかないです。シンタローも「キンタローはキレるとやばい」と思っているんですが、今のキンちゃんがそこまで怒る時って、高松の身に何か起きそうな時くらいじゃないでしょうか。(※グンマは何かあれば慣習上高松が守る訳で、高松自身には保険も命綱もない。)
■サビは気が付かなかったと思うけど、あの時のキンちゃんは高松がまた大怪我する事を恐れて、強気に出たんじゃないかと思います。サビは自分のために動くのでなければ、周囲の男達の動きに興味なさそうです。サビは、自分の手足になるべきキンちゃんが無策な行為に出れば捨て駒が減るので、キンちゃんの「暴走」を見咎めただけでは。奴隷を監視しているみたいに。
■以下はキンちゃんと高松のために思った事です。
■確かにキンちゃんは怒りっぽい所がありますし、まだ少年らしい部分が多いので、不安定でもあります。でも高松は教壇に立っていた時に持っていた感覚を思い出しながら、「過ちは改めないから過ちなんです、改め様とする気持ちがあるのなら大丈夫ですよ」とキンちゃんを励ましてきたと思うのです。
キンちゃんの基礎能力の高さを生かせれば素晴らしい仕事も出来るでしょう(※結局ガンマ団だけど)。こういう事は口先で宣言しても仕方ないから、時間をかけて色んな事をなし得ながら、学んでいきましょうと、高松はキンちゃんに言っただろうなと思います。中学校の先生と生徒の様です。高松はひねくれ者ですが、時々そういう事が出来る男だと思います。
そんなふうに愛してくれる人に怪我させたくなくて、、ちょっと「暴走」したからって、危険物扱いなんてひどくない?と思いました。恐らくサビにはそう見えたのでしょう。サビってそういう「暴走」は生涯しなそうです。 |
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