■意味がないと言われそうですが、キン高とルザ高を書くために谷崎源氏を読み出しました。今、中君が薫に浮舟の存在をほのめかしました。大君を幸せに出来ず、人妻で妊婦の中君に言い寄って癒されようとする薫は、金持ちの中納言でもゲスだなと思いました。浮舟も薫と匂宮のオモチャにされて苦しみます。
源氏ってこんな話だっけと思いました。「下半身で物を考える」と言うしかない、どうしようもない男の列伝みたいになってますが。紫式部はみんなの娯楽としてイケメンで金持ちの源氏を書いたと思いますが、裏コード的に「こんなバカな男がいる、女は強く生きろ」と言っていたのかなと思いました。谷崎の書く女性は小説的ですが、男達はリアルに「どうしようもない」ので、源氏＆谷崎の華麗さは置いておいて、愚かな男の話と言うなら酷似しているなと思いました。
■で、ルザ高とキン高に何か取り込めたのかと言いますと。千年の神秘である源氏を読むのが自分には精一杯で、「何か学べるか」と言われると難しいです。知ったのは、源氏の女性達がいつも嬉々として源氏を迎え、契っていたのではないという事です。強姦まがいのシーンばかりで物語になるのかと、読む前は不思議でしたが、源氏は「愚かな男」の話なのだと思うと納得しました。
愚かな男と言えば高松です。ルザ高、キン高なら、高松はキン高なんてルーザー様に申し訳ないと思いそうなものですが、あんまり思わない様です。高松は藤壺や空蝉の爪の垢でも煎じて飲めばいいと思いました。高松も反省はしてなくない様で隠居したんですが、自分には学会や研究、仕事に勤しむキンちゃんを助けながら、隠居先などでキン高を楽しむ高松が目に浮かびました。
（高松は青の一族の皆から、本人が思うよりずっと大切にされている事が分からないで、嫌な男まっしぐらに生きる所がどうしようもないと思う。グンマは昔は素直に高松を慕ったろうし、ルーザー様も高松に復讐なんてさせる気はなかったと思う。マジ・ハレ・サビは高松を重んじたし。キンちゃんが「お前が好きなんだ」と言っても、しばらくは耳を貸さなそう。）
■谷崎訳で宇治十帖を読んでいます。以下は雑感です。
・源氏の若かった頃は、まともな人が多かったなと思った。薫がひねているのは女三宮の不義のせいだとしても、同じ不義の子でも冷泉はいい子だった。冷泉が母の藤壺の罪を知っても動揺しなかったのは、父たる桐壷帝が源氏の火遊び如きで自分を失う様な男でなかったかららしい。薫は源氏に本当の父である柏木を病に追い込まれ、母の女三宮を尼にされてしまった。
それぞれ源氏に妃を盗まれた桐壺帝・朱雀帝は、源氏と妃の密通を腹の中に収め、飛び火させなかったのに、幼い薫一人幸せに出来なかった源氏の男の小ささというのか。（源氏は女三宮が若い皇女だから結婚しただけで、愛情はこれっぽっちもなかったんだとよく分かる。なら紫の上の事は愛したのかというと疑問。彼女を出家させるのを拒み、結局苦しめて殺してしまっている。）
・源氏の死後あたりから人間関係が分かりにくくなるのは、近親相姦が激しいから。源氏の代だと帝、左大臣家、右大臣家、他という感じだったが、夕霧の代あたりになると、帝も中宮も大臣も他もほとんど源氏の一族が占める。夕霧が沢山いる自分の息子や娘の結婚に熱心なのは、そのせい。
夕霧は雲居の雁、落葉の宮、藤典侍、他だけを愛し穏やかに過ごしてるイメージがあったけど、ちょっと違うみたい。従姉妹を愛したのは源氏・夕霧も同じだけど、桐壺帝の頃から近親相姦はあったので、遠慮とか気遣いとかもなくなったらしい。中央権力を源氏一族が私物化している。
（南国＆ＰＡＰＵＷＡの青の一族も、多分女性がカウントされていたら近親相姦が続き過ぎて、いつか自然消滅していたと思う。肉体だけは外部から仕入れて来ても、思考回路がアレだけど。ルーザー様はその意味もあって、高松を望んだのでは。高松は全然分かっていなくて、「余所者の私が」と嘆いてルーザー様を困らせていそう。） |
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