■入稿出来たので、温泉に行って来ます。群馬にもれなくある山あいの温泉です。群馬は温泉・自然に恵まれた県ですが、楽しむにはマイカーと金銭と一定の情報が必要です。昔、小さかった自分には勿論そんな装備が無く、大人になってサラリーをもらう様になったら、好き程湯治に行くんだと決めていました。
■先日サビとジャンばかり責めた様で不平等なので、高松について書きます。
・高松は、自分はグンマが成人するまで生きていないだろうと思っていたと思う。たった23歳だったルーザー様が一瞬で去って行ったのを目の当たりにした高松の思考は、非常に刹那的になっていただろうと思う。
実父に無視され、生来の財産からも遠ざけられ、忙しい赤の他人に世話されるかわいそうなグンマに、「優しくしてくれたある他人」として接し、他人同士かすかな明るさを感じ合って、高松は死のうとしていたのではと思う。ところがどっこい、高松は43歳を迎えた訳で。
恐らくルーザー様を死に追いやったマジックの贖罪的な意味合いで、彼の恋人だった?高松と息子のグンマにマジックは甘かったのだろうと思う。マジックが本気でグンマの事バカにしていたら、グンマは成人すら出来なかったと思う。
・こころの先生の様に、何故か生きている高松。人生の連れ合いとなったグンマには、何故高松が秘密主義の癖に優しいのか、人後に落ちない頭脳と知識と行動力、普通に生きていれば、誰かの夫や父親になっていただろう彼が理解出来ない。
優しいくせに自暴自棄で、意外と社交的なのに未婚の高松が理解的ないまま、小康を保つグンマだったが、高松にまつわる全ての秘密は、高松と海辺で出会ったキンちゃんだけに打ち明けられ、高松は無事ルーザー様への恋心に終止符を打つ事が出来た。
Kを失った先生、ルーザー様を失った高松が何故生きていたのかと言えば、自分の恋が無意味だったと思いたくないからだと思う。激しいだけの恋なんて有益とは程遠いけれど、徒花ではなかったのだと悶々と先生、高松は思っていたのだと思う。
自分の胸を割いて、温かい血を誰かに浴びせたいという、グロテスクで自己憐憫全開の欲望があったから、先生と高松は死ねないのだと思う。先生には静が、高松にはグンマがあったけど、両者とも連れ合いの外面だけに満足して連れ合いになっただけで、相手の生血をすすりたいという怪奇的なまでの欲情はなかったと思う。無いのが普通。
(静は若くて優秀で行動力のある帝大生と先生を見、グンマは高松を「よく分からないけど僕に優しくしてくれるから」受けれいていたのかなと思う。)
私とキンちゃんが何故、恋愛適齢期を過ぎたおっさんの血を浴び、自分の喉に流し込む事になったのかは分からない。ただ言えるのは、その人と会った後、彼の存在が自分の中で息づいていると感じている事である。先生のKへの倫理的でない思いと、高松のルーザー様への狂気が解脱し、若者の心の中で実を結んだと言える。 |
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