■セーラームーンR、Sの頃、アニメージュをよく買っていました。うさぎ達が変身して戦うのは、「幼児的万能感の発露、いずれ本当の自分と向き合う時が来る」という解説を読んだ覚えがあります。
セーラームーンは実によく出来ていて、「女の子の魅力とは美貌でも成績でも異性にモテる事でもなく、彼女自身が夢に向かって頑張っているその姿」という、乙女のポリシー的なものが全編に貫かれています。見ていて気持ちいですが、そういえば「幼児的万能感」についてアドラーは、万人に起こるとは言っていなかった気がします。
むしろ小さな子供が、周囲の兄姉や父母と自分を比べ、弱い自分から成長しようという、ささやかな向上心の方を、アドラーは注目していて、「何でもアタシ、ボクの思い通りになる」という態度は、甘やかし故の誤ったライフスタイルだと言っていたかなと思います。
自分にも幼児的万能感が多分にあります。いつか、セーラー戦士の様に、カッコイイ女性になる事を夢見て、とんでもなく時間が経ってしまいました。誤ったライフスタイルを改め、共同代感覚を得ようとしてますが、成功するのでしょうか。
■意外な事に、南国で一番先にいいなと思ったキャラは、東北ミヤギでした。ロングの金髪に碧眼が珍しかったのか、勝ち気な所がよかったのか。シンタローにボコボコにされる事だけが仕事みたいなミヤギが好きでした。
ミヤギと言えばトットリですが、多分トットリの心は自分には生涯分からないのではと思います。「辛い事があっても我慢する」大人さが自分は足りません。嫌な事があったら、言い疲れるまで文句を言い、我慢すべき事があったら、逃げ出すだろう愚か者が竹淵です。
トットリの辛抱強さにも驚きですが、ミヤギの(いい意味での)アホの部分がいいな、と今になると思います。南国の世界に、シンタローを殺せる人はいません。アラシヤマの様に、「殺してやる」ポーズは取れても、実際、シンタローに傷一つつけようものなら、マジックにこの世から消されると思います。そんな矛盾だらけの刺客のトップバッターがミヤギでした。
ミヤギはそういう、普通の男女関係、家族関係より、恐らくはるかにネットリしたもの、コップの底に溶け残った様なものに気が付かないのか。気が付いたからどうなるものでもないし、アドラーか有名な精神医学者の様に、「他人と過去は変えられない、変えられるのは自身と未来だけ」とミヤギも思うのか。
高松とグンマなら、死ぬまでどころか来来来来世過ぎまで、抱きしめて、寝てる時も身から放さない様な思い、感情、気持ち、わだかまり、等もしミヤギは生来持っていないなら、もう評価するよりないと思います。
いい意味で目覚めないのが、ミヤギなのだろうと思います。目覚めるというと。
「高松が自分を愛していない事に気が付いたグンマ」「マジックに全然認めてもらってない事に気がついたルーザー様」「ブラコンと言うか異世界の人であるルーザー様と、どうあろうとも結ばれることは無いのだと知った高松」の様に、目覚めた後に待っているのは、あまりいい味のものではないでしょう。
偉い先生の講義を聞いて、本を沢山読んで。それでも得られなくて、ルーザー様とグンマと高松がボロボロになりそうなっても得られないものを、ミヤギは生来持っているのかもしれません。「人を疑わない事」、これに勝る宝はありません。 |
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