■スパークのネームを描いていました。高松にリンドウを上げるグンマが出て来ます。リンドウにはいい花言葉も沢山ありますが、敬老の日の花でもあるのだそうです。シンタローが、ガンマ団の若返り・スクラップアンドビルドを図っている以上、グンマの言わんとする事は一つです。
高松は、はかなんで隠居するか、若返りの薬を作って、19歳の姿になって働くしかないでしょう。新人秀才青年科学者として、ガンマ団に再就職を図る高松。高松の不自然な努力に怒るキンちゃんに、いつものお前が好きだと言ってもらえないでしょうか。
■ハレは高松の罵詈雑言に許容的ですが。思えばハレって、大体の事に許容的かもと思いました。沢山いる兄弟の中間に生まれたさがなのか、兄達の横暴にも、サビのわがままにも大体慣れていそうです。
高松に青の一族以上の横柄さがあるのなら別ですが、高松はどうあがいても小型のルーザー様みたいなものだったろうし、高松も青の一族であるハレには結局叶わないと諦めていて、ハレには心理的に距離を感じていそうです。ハレには高松以下、ガンマ団員の感じる一族との「距離」が分からないだろうなと思います。
■からくりサーカスのアンジェリーナの話が好きです。あの昔話から生き抜き、劇中に現役で登場しているのがギイだけというのは寂しいです。エレも登場していますが、赤ちゃんなだけに、父や母、フランシーヌ人形、ギイ、黒賀村の人達の事を全く覚えていません。正二はプロローグ以前に一度退場しています。
ギイは回想冒頭で、「自分は病気と孤独としろがねとしての仕事で悲惨なのに、異国でぬくぬくとしていたアンジェリーナが許せない」という態度を押し通そうとしていました。
しろがねってルシール、タニア、マリー、他村の生き残りがいますが、集まっていてもお互いを温めあう事は稀なんだなと思いました。サハラ砂漠編でしろがね達の人間味も垣間見えましたが、ギイには無縁のものだった様です。
幼かったギイは、当初アンジェリーナを罵倒し、妊娠中である彼女をオリンピアで襲います。ギイに忠実なオリンピアでも、アンジェリーナに致命傷を負わせたくなかったのか、ギイは半死半生に陥りました。
心身共に弱ったギイを優しく受け入れるアンジェリーナ、フランシーヌ人形との邂逅、エレの誕生と見せが続きます。ギイについて、しろがねとしての使命、アンジェリーナから柔らかい石を取り出す事、フランシーヌ人形を破壊する事へのとまどいも描きつつ、冒頭の捨て鉢なギイと、その後の少し優しくなったギイの変化も描いてあります。
妄想の余地がありません。ギイの心象風景の変化が見事に描き切ってあります。アンジェリーナ編を読んでから、からくりサーカス序盤のギイを読み返すとひとしおでしょう。しかしアンジェリーナ編の勢いに押されて、序盤のシックな感じを忘れ、鳴海達のファイティングシーンの連続に目を奪われるのです。
最後の最後、エレが鳴海を愛し、鳴海も色々あっただけでエレを愛しているのを確認し、ギイが3000体破壊に挑んだ時、やっと序盤のギイと、アンジェリーナ編のギイがつながります。何十冊もの漫画を、何回も読まないと完全には味わえないのはすごい事だと思います。 |
|