■安吾の何かの文章で。戦争だなんだと言っても、女は男が決めた通りにしか生きられないのだから、女に時局など知った話ではないというくだりがありました。現在だったら安吾は口をつぐむしかないでしょうが、何だか納得しました。
■新聞を読むと痛ましい事件が毎日起きています。腕力と権力と財産のある男性が、かよわい女性や子供を踏みにじる事件が多いのかなと思います。女性や子供が「何々をしたい」「何々が欲しい、必要である」と父ないし夫に言ってもムダかもしれません。女性や子供が必要とする金品、自由等は男達には無価値だからです。
漱石の父親か、鴎外の雁ではありませんが。「子供は親を養うべきである」「子供にいくらいくら金をかけたから、子供は数倍にして親に返すべきである」「女は男がいないと生きていけないのだから、女は男に這いつくばって機嫌を取らないとならない」等、世の中のアタリマエは数多いのでしょう。
■上諏訪温泉に一泊しました。空気がきれいで温泉もよく、諏訪湖と青空を見ながらの滞在は、何もかも忘れそうになりました。旅行などしていると、このままここに住みたいと思う時があります。
鉄道の沿線に賃貸住宅があって。小規模だけど賑わっていそうな商店街があって。公園等の緑、社寺等もあって、これで就職先があったなら迷わずここに住むのに、と各地を旅行をするたびに思います。
豪雪、豪雨、酷暑等の可能性を調べば気が変わるかもしれませんが。仕事と言う一点が満たされないので全部夢物語になります。今の仕事を定年まで勤めて、稼げるだけ稼いだら、カタツムリの様に家財を背負って放浪したいです。
という夢を持って数年になりました。まずは働こう、まずは好きな未来を掴むために資金を貯めようと言う計画は間違っていなかったと思いますが、体力の衰えまで計算に入れていませんでした。若い体力なら、中央本線の特急を新宿から目的の甲府や松本まで乗っても、何ともないでしょう。
しかし近年乗車して疲れるようになりました。この私が、のぞみで東京から大阪に行っただけで疲れるなんて、嘘だと思いました。鉄は動く車両の中でこそ休めるのだと思っていました。全否定は悲しいからしませんが、在来特急の揺れを体で受け止めるのが年々しんどくなりそうです。
若い頃、おこづかいが欲しかった、金銭を自由に使いたかったと両親・義両親を呪うかのような漱石の咆哮を思い出します。オカネと若い体力がないと、楽しめない事があるのだと思いました。 |
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