■先日から穏やかでない事ばかり書いていますが、自分はお父さん子でした。パパみたいな人と結婚する、と思った時期もある、普通の父親思いのパパっ子でした。
しかし成人した今になって思うのは、その思いは、一種の生存本能だったのではという事です。何もできない、無収入で、車もない(グンマは車依存社会)子供が頼るのは、第一に親です。親に嫌われたら、御飯がもらえない、学校に行かせてもらえないでしょう。
そんな大げさなと思われると思いますが、よく父から「口答えするなら、ニワトリ小屋に住め」と言われていました。実際、子供を閉じ込めるのによさそうなニワトリ小屋が、わが家にはありました。
昔、先代くらいの竹淵家の人間は、牛小屋の様な家に住んで、給湯器や洗濯機もない暮らしをしていたと始終上の世代から聞かされていて(※祖父母、父世代への感謝を強要させるため)、自分は、本気で「今更そんな暮らしを強要されては困る」と思いました。
結果、父に媚びる事を、数十年前の私は思いついたのだろうと思います。媚びが売れるなら、大概のものを父に売ったと思います。お蔭で大学にまで行かせてもらいました。めでたしめでたし。
(南国のグンマの高松への笑顔は、一種の生存本能ではないかと自分は考えている。高松に媚びれば、孤児グンマは死なないだろう。ただしグンマに本当の家族が出来た、ないし相応の権力が与えられれば、以下略)
■こんな時のアドラー心理学じゃないかと、先年読んだ本を思い出しています。有名なのは、嫌われる勇気でした。
マジックには、嫌われる勇気がないかもしれないと思いました。嫌う嫌わないって、従うか従わないかという話なら、マジックは無敵です。しかし、愛しているか否かが争点になる相手の場合、怖いくらい無力な人なのかもしれません。
南国で、ハーレムがキンちゃん・コタを連れて勝手にパプワ島に乗りこんできます。ハーレムにすれば、三男の自分を差し置いて、兄やシンタロー、サービス、高松までもが何か騒いでいるのが我慢ならなかったのでしょう。
ハーレムは、「総帥が命令も出来ない状態で」と言います。マジックはシンタローが赤の秘石の番人であると判明した場合、青の一族のトップとして、シンタローを抹殺する義務があります。幸か不幸かシンタローは死んでいましたが、マジックはシンタローが何らかの形で生き返った場合、再度自分の手で殺さないといけません。
又は、シンタローは既に死んだものとして、シンタローやパプワという赤の一族がいる島を、滅ぼさないといけません。それが青の一族です。仮にマジックが平和主義に目覚めた所で、マジックが世界征服の野望と青い秘石まで廃棄しない限り、問題はくすぶり続けます。
南国のシンタローの一回目の死亡後は、マジックが自分の野望とシンタローへの愛という、全く選べない選択肢の前で止まっている状況です。物語は赤の方だけでぬるく語られ、そのうちにキンちゃんが高松に懐き、南国と言う壮大なストーリーは、キンちゃんの(無意味な)父子対決、マジックのコタへの折檻で終わります。
マジックは、ルーザー様が生きていた時と、同じ行動を取りました。野望のためには、赤のスパイだったジャンを処分しないとならず、ジャンを諦められず、結局全ての罪をルーザー様のせいにして、心の安静を得ました。南国終盤でも、ルーザー様を再度悪者にし、幼いコタまで折檻して昏睡させています。
マジックがジャン、シンタローに嫌われたくないのだけは、よく分かりました。 |
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