madeingermany

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...... 2017年12月27日 の日記 ......
■ かまって   [ NO. 2017122701-1 ]

■長い長い大菩薩峠の、新聞掲載分は既に読みました。最終巻辺りは書下ろしだったそうです。異常に長いこの分量は、読者の声があったという事なのだろうと思います。しかし商売としてなら、谷崎の方が上手かったと思います。

谷崎も未完がいくつかありますが、目指すは売れる作品であって、フェチはあれども、固い思想や政治的アピールは少なかったと思います。中里介山の場合、目指すは思想的な何かだったのかなと思います。



■鏡子さんは漱石と別れませんでした。分かれるタイミングは無数にあったと思います。しかし彼女の「ヒステリー」、漱石の鬱病他以前に、17年間で7人の子女をもうけています。

自分はひとり者のせいか、水と油の様な、明暗の延と津田の間に、すでに一子お腹の中にいるという事実がよく分かりません。明暗の延と津田の、新婚なのに憎み合い、警戒し合っている姿は、鏡子さんと漱石の様に思えて来ます。それからや門の様に、変に楽園的な世界に逃げない分、明暗は傑作であり、未完になるしかない様に思えます。



■グンマは本当にお菓子好きなのか、と考えていました。アルコール、煙草はしない様なので、嗜好品が甘いものと言うのは分かります。しかし、いくらなんでも記号的に過ぎるとも思いました。南国登場初期は、日本酒とか嗜みそうなキャラだったのに。

どうもグンマは、高松と延々愛情確認をしあう間に、甘いものが好きなグンマ様、に仕立て上げられた様な気がします。愛情確認と言っても、子供と親の関係においての、わざとすねて見るとか、わざとものを壊して関心を向けさそうとか、単純な愛情確認のやりとりです。全部、高松とグンマの場合、食い違っていそうです。


グンマは高松からキャンディーをもらえば、絶対に喜ばねば(保護してもらえないから)ならず。高松は、キンちゃんの幸せのために、グンマ様を永遠に喜ばせねばならず(グンマが自分の出自に疑問を持てば、マジックとの父子関係に気が付きかねず、キンちゃん(=シンタロー)は父親を失う事になる。)




からくりサーカスで、勝としろがねが、疑似母子として描かれている場面が結構あります。しろがねの犠牲的な行動は素晴らしいですが、勝はいつも、しろがねを女として見ていた気がします。ギイの登場で不機嫌になったりと、仮にもしろがねの息子として勝を描きたかったのなら、何故と思うような描写が多かったです。疑似家族とは、なんと形成困難なのだろうと思います。




キンちゃんなんて、高松と愛情確認をし過ぎて、怒らせた気がします。自分一人でなんでもできるとか、俺の世話などしなくていいとか、啖呵と見栄を切り過ぎて、高松を怒らせたのでしょう。本当は他人である高松を、自分の方に引き寄せたかっただけなのに。

キンちゃんには間の悪い事に。高松程、愛情確認をこじらせた男はいません。ルーザー様が生きていた頃は、ルーザー様に見て欲しくて、研究や勉強を頑張ってしまったのに、全然見てもらえなくて泣いていた気がします。

ルーザー様はとんでもない冷たい人と言う訳ではなかったと思いますが、行き過ぎたブラコンなので、高松を一番には愛さなかったと思います。その反動なのか、幼いグンマのちょっとした欲求、チョコレートが欲しいとかの言葉に過剰に反応し、今のグンマ様が出来上がったのかなと思いました。

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