madeingermany

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...... 2018年01月25日 の日記 ......
■ 雪   [ NO. 2018012501-1 ]

■何で宮尾登美子の錦に、感情を乱したのかなと思いました。他の宮尾作品を読めば、大体予想される展開に疑問はないはずです。

主人公について「嫁取り」が話題になってくる時、自分は使用人の仙が、妻になるのではないかと思いました。最初に苦労を共にした善一さん、その妹の仙と、末永く仲良く事業が出来るなら、そんないい事はないと思いました。善一さんも仙も、求められる以上の仕事をしていました。

主人公が結婚した後は、何らかのアクシデントで、正妻がいなくなって、仙が主人公から愛されるのではないかと夢見ました。そんな事はなかったです。仙は使用人以上の労力を捧げ、家族以上の愛情を彼に注ぎ、最後は寂しい幽霊の様に去って行きました。



社長と奉公人では、そうなるしかないのは分かります。奉公人が旦那様を私的に愛しても、いい事はありません。逆はあり得て、使用人に手を出して子供を生ませ、母子ともども捨てて顧みない男は五万といるでしょう。起こりえない夢を見て、若さも感情も尽くし損だった仙の失敗談だったと言えます。

妄想を挟まない高松って、多分こうなんだろうなと思いました。多分妄想ありきで高松を妄想するから、メイド服姿の高松とか平気で描きますが、林芙美子の家の間取りを見ると、お女中と主人夫婦は別の生き物の様な扱いで愕然とします。愛あるルザ高、好き合うキン高の妄想は、妄想の域を出ないなあと思ったら、全く別の作品に矛先を向けていました。

高松は医者なので、身分的には紳士の仲間です。ルーザー様ともキンちゃんとも、紳士としての付き合いが出来るはずです。しかしなんかモヤモヤするのは、高松が彼等から「愛されたい」と思うからでしょう。お友達でも仲間でもなく、恋愛の相手になりたいなら全然違う問題です。仙は「恋をしていた」という事なのかなと思いますが、相手が悪すぎたとでも言うのでしょうか。



■雪で笑えない状況です。雪で楽しいのは子供だけとよく言いますが、何もかも大人が意図的に「かばって」くれる子供時代は、大人さえ自由に出来ない天災に、妙にスカッとしました。大人は子供を自由にできるけれど、その大人を、天気が支配してくれるのだと思いました。

単に、運動と畑仕事が好きでない子供だったので、屋外での行動が制限される悪天候に期待する所が多かったです。大人になると、あれこれ準備してもお天気ひとつで潰れる事があり得るので、子供時代は無責任なこと考えていたんだなと思いました。


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