■日誌を書くたびに不穏になってきて、申し訳ありません。マジックと高松ではないですが、復讐される方・復讐する方には相容れない何かがあるんだろうなと思います。
自分もあれこれ考えてみましたが。今更、復讐の銃口を相手に向けてみても、ただの犯罪にしかならなそうです。復讐の念をつのらせるような行為が過去にあったとしても、その過去において相手が処罰されなかった以上、天も地も自分の味方ではありません。
よく「どうしてその時言わなかったの」と言う人がありますが、泣いて相手に訴えて無視されたから遺恨になったのであって、号泣の自分の訴えが相手には蚊の羽音程度にも届かなかったのです。
もし「どうして」という問いがされれば、「私が私だったから」という答えしか浮かびません。美しく清潔で、明るく可愛い素直な少女だったら、今の竹淵はありません。自分が本当にそうでなかったのかは兎も角、周囲からそう思われず、「ムカつく」少女だったのは間違いなかったでしょう。
・・・マジックは、「高松はルーザーを失った事を納得していた」「自分は高松とルーザーの息子に、十分な補償を与えた」「高松は自分達、現青の一族にとって家族同様であり、その生き証人はルーザーの息子であるグンマである」、とギリギリまで思っていただろうと思います。
それらは全て、高松がマジックに出していた「メッセージ」なので、間違いではありません。しかし、誰がガンマ団総帥マジック、しかもルーザーが敬愛していた兄であり、同時にルーザーを死に追いやった男に、本音で話すでしょう。
高松は「ルーザー様がいなくなったのは仕方ない事です」とマジックに言いながら、「だって貴方に逆らえる人なんて、この世にいませんから」と、心の中で、マジックを睨みつけていたと思います。(そう恨みつつ、巨額の研究費等をマジックに出させていたと思うと、可笑しみがある。)
高松の復讐譚は、キンちゃんの登場で幕を下ろします。マジックへの復讐が終わったからではなく、ルーザー様が「帰って来た」からです。身も心も、可愛いキンちゃんのために使いたい高松には、復讐の念が残っていたとしても、挿話程度の扱いにまで順番が落ちました。
新たなる復讐の狼煙が、グンマの中で上ったのだろうと思います。
・高松の愛も悲しさも、全てグンマを素通りしている事 ・実父のマジック、実弟のコタローも、グンマに余り興味がない事(マジックの頭の中では、まだ高松とグンマは仲良しなんだろうなと思う。コタはグンマと面識が薄すぎるので仕方ない)
・高松に本来過ごしてきたはずの24年間を奪われていた事。高松はグンマに優しい言葉や態度を与えつつ、ウソをついていた事。
どれもこれも、グンマが高松に復讐の銃口を向ける立派な理由です。大体グンマの方が高松よりはるかに「偉い」ので、高松がグンマ様のコーヒーカップを割ったとかの理由でも、グンマが高松に手を上げていいのです。
私や高松の復讐劇にはない要素が、グンマにはあります。復讐の相手(この場合高松)をどう処分しても、グンマは許されるのです。ただし、マジックが未だに「高松とグンマは仲良し」と信じている場合、実の父より家族らしかった高松を叩き斬ったらグンマは、マジックから冷えた目で見られるでしょう。
マジックが高松を処分しないのなら、グンマは高松に手が出せません。高松が20数年かけてマジックに出していたメッセージは、高松を守りました。高松は憎いマジックに寄生するかのようにして長らえ、自分の蓄えた養分を(グンマではなくて)愛するキンちゃんに与えて、去って行きました。
残念ですが復讐の手管なら、グンマより高松の方が上手でしょう。 |
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