■コミケにサークル参加して来ました。スペースに来て下さった方、ありがとうございます。来週のインテにも、パプワで参加します。
■10日の夜、都内のホテルで織田作を読んでいました。太宰や安吾にふけった事はありますが、織田作の本を一冊読んだのは初めてでした。
谷崎ではありませんが、これは発禁になりそうだなと思いました。今のトレンドワード?の「生産性」と真逆の生き方です。もっともその「生産性」とやらは、何を指しての「生産」なのか自分はよく分かりません。もし結婚して子供を授かる事が「生産」だと言うのなら、実に恐ろしい発言だと思います。野菜や車を作るのと、人間の「出生」をごっちゃにしています。
織田作で印象的なのは、夫婦善哉でした。
「蝶子は柳吉と分かれればいいじゃない」とレビュー等で読みましたが、多分別れられないと思います。「女は男がいないと半人前」という常識があったんじゃないかなと思います。今でも「結婚して子供を作らないとダメ」というムードがありますが。
蝶子が数多あった男から柳吉を選んだのは、柳吉がボンボンだからだと思います。普通に二人で頑張る意味で、付き合ったのではないと思います。「ボンボンと付き合う事で、自分も女としてレベルアップ」という蝶子の無意識がそうさせたのだろうと思います。若くて無力だった蝶子の、ギリギリの玉の輿が柳吉だったのでは。
柳吉はボンボンですが、ボンボンらしく家を継ぐ気はあれど、家族にも家業にもまともな事は数えるほどしかしません。何故って、「蝶子という女に自分の面倒をみさせる」快感があるからだろうと思います。実家にいれば、両親、兄弟、正妻、子供が柳吉にはいます。彼等に大したことを出来ない男だから、「蝶子」という、サンドバック代わりの女、マウントを取るための女を柳吉は必要としました。
蝶子は玉の輿ではあるけれど、所詮玉の輿と言うファンタジーで生活は出来ないので、芸者として働きます。「立派なボンボンを、アタシが稼いで食べさせている」というプライドが蝶子に生まれます。柳吉は蝶子に甘えるかと思いきや、「女に貢いでもらうのは好きだけど、女に養ってもらうのはイヤ」という超論理を発揮し、彼女の貯金を持ち逃げしたり、彼女に言わないで、実妹から金を巻き上げたりしています。
柳吉の「真面目に働いたら負け」という頭は、どうかしていると思いつつ、似たような男を私は数人知っています。 |
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