 ■以下、ウィードの父子問題についてです。見当はずれな事を言っているかもしれません、すみません。白狼といい、幸村と言い、いいイヌ登場→惨殺の繰り返しなのに、心をやられます。
・銀牙作者の父君は、相当な御仁だったらしい。とはいえ、昔の田舎の男は似たようなものだと思うから、よく分かる。イヌや家畜、家族に平気で手を上げ、それを「俺がわざわざ殴ってあげたんだ」くらいに自賛する男は今もいる(※あくまでマンガの後書きからのイメージです)
銀牙本編では、そういう父子関係がいい感じにぼかしてある。銀が父親に近いように思う存在である、ベンは優しい男なので、銀が新入りの上に勝手に振る舞っても、受け入れる・見守る度量がある。
(銀=作者=読者が、何か目上に対して発言して、発言内容如何に関わらず、ビール瓶で頭を割られるか、罵倒されて精神的にぶっ殺される場合もあろうかと思う。私はよく、実父から「俺に逆らうと学校に行かせない」と脅された)
・銀に名前を付けたのは大輔。銀に生きるスキルを叩きこんだのはじっ様。リキは血縁上の父親だけど、リキが教師的に何かを銀に教え込んだことはない。
・銀の息子のウィード他、コイヌ達はモロに捨て子同然だったりする。赤カブト戦で心を病んだメス犬のため、銀の妻が他県でコイヌ達を一人で生む羽目になったから。
でも赤カブト戦で家族を失った犬や、自身も癒えない傷を負った犬達にすれば、ウィードが秋田で生まれたら総大将ばっかりオメデタか、とイヤミの一つも言いたいだろうと思う。
銀も、自分が生まれたのは大輔の家だし、人間ありきで育った事もあり、自分の妻子をどう扱えばいいか分からなかったと思う。赤目の家族観は悲惨そうだし、ジョンは独身貴族っぽいし、ベン&クロスはクロスの采配が大きくて参考にしにくく、結局妻子と睦めなかった銀。
ウィードには、大輔の様な飼い主がいない。母とはすぐ別れたし、GBはウィードの飼い主でも家族でもない。みなしごウィード。でも総大将の子という事実があるので、色々がウヤムヤになり、自分がどんなにかいびつな集団にいるのか自覚がない。
白狼や如月のグループは、「血縁・地縁でまとまって暮らす」事が最大の目的である。テリトリーにはうるさいし、繁殖にも熱心。銀達のグループの目的は「正義」。こんな恐ろしく巨大な看板を下げた「家族」はない。むしろ家族と言うグループ内の中にこそ、倒すべき悪魔がいる。家族と正義は並立しない。
銀達は、正義と言う名の中立的なイヌ達のグループを作り上げたけど、24時間経営のコンビニみたいなもので、構成員は休めないし、テリトリーも繁殖も、正義と言う経営の前には霞む。銀は桜を側に置けなかったし、リキ様の様に都合よく記憶喪失にもならなかった。
銀も堂々と如月や白狼、甲斐達の様に身内を可愛がってもよかったのかもしれない。しかし銀には出来なかったと思う。銀自身が、地縁・血縁でここまでやってきた犬じゃないから、銀には正義の御旗だけしかなかった。銀自身が、(イヌの)家族の味を知らない子だった。 |
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