madeingermany

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...... 2020年03月12日 の日記 ......
■ パオロと   [ NO. 2020031201-1 ]

■平常心を取り戻すために、ほぼ最後の砦である漱石について書いてみようと思います。自分の最後の砦はいくつかありますが、「特急電車に乗ってお出かけ〜」とか夢にも見にくい事態です。手元にドストエフスキーの悪霊があります、読み終える頃には世の中が落ち着いているでしょうか。




■西洋画には詳しくありませんが、中野京子女史の怖い絵シリーズをはじから読んでいます。今、運命の絵のパオロとフランチェスカを読んでいます。以下、雑感です。


・パオロとフランチェスカと言えば、漱石の行人を思う。不倫の愛をテーマにした、ある意味漱石世界の完結編と言えなくない小説 漱石は不倫もの大好き


・婚約者を裏切る、坊ちゃんのマドンナ
・流産後の体を癒しに来た清子と、津田の禁忌の時間
・セックスレス夫婦と、若々しい男子学生の出会い

・友人に何故か恋人を譲ってしまい、今になって彼女に愛していると爆弾発言の高等遊民
・離婚後の狂女と、暇を持て余した画工
・妻と自分と、妻が昔同棲していた友人の話



このへんのよじれ切った関係の頂点に、お直と二郎がいるのかなと思いますが、そうでもないようです。二郎はお直が好きなわけではなくて、一郎・二郎・直という、みつどもえの関係以上には、ならないんじゃないかなと思います。

一郎も二郎も、直個人を愛しているわけじゃなくて。一郎は二郎が家にいなければ、誰とも口をきかないし、二郎も直を連れて新天地に行く意気地がありません。




本当は、一郎×二郎なんだろうなと思います。先生×Kであるように。先生は昔話をしながら、「Kの唇が〜」「Kの足取りが〜」「Kの吐息が〜」と惜しみなく語るのに、奥さんの容貌等の話はしません。「そんな時に笑う女が嫌い」「圧迫感を覚えた」等、なんで奥さんと結婚したのか分からないくらいです。

先生が奥さんと結婚したのは、Kが彼女と結婚するのが嫌だったからでしょう。また私も、先生の死後奥さんと結婚するにしても、別に彼女が好きだからではなく、彼女が先生の女だったからでしょう。



直も静も、男性達から実は愛されていません。でもパオロとフランチェスカの場合は、異性愛でしっかり結ばれていたのかなと思います。二人はフランチェスカの夫から串刺しにされて死ぬそうです。

一郎にそんな事は出来ないでしょう。二郎が好き過ぎて。一郎はむしろ二郎と直のいやらしさを喜んでいたような向きもあったと思います。和歌山の一件はあまりにアホらしい一郎の提案でしたし、行人は二郎×直ではなく、二郎×一郎、最後にHさん×一郎かなと思います。本当の救われて愛されるお姫様は一郎だったというオチ。

修善寺の大患のせいか、二郎の不倫?が完結されなくてよかったのだと思います。二郎は門の宗助のように、無我夢中で得た女性に対しても、きっと不実になるだろうと思います。直が娘だったころには何のアクションもしなかったのに、義姉になったらソワソワしだす珍妙な関係。

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