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■ 太宰 　　[ NO. 2020060801-1 ]

■クラリスや真希を見ていると、もののけ姫で須美さんと監督があれこれあったというのに納得できる気がします。トキはたたら場の一女性で、夫もあるし、普通の「おかみさん」なんじゃないかと思います。 監督が好きそうなお姫様でも、すごい科学者の娘でもないでしょう。須美さんがサンをされれば？とつい思いました。それくらい、須美さんの特別性は巨大なのかもと。監督がトキに何を求めていたのかはよく分かりません。 ■宮崎監督のルパンを見ていると、太宰を思い出しました。ごく若い時の作品のタイトルに、晩年と付けたあの太宰です。 本当は大金持ちで女性にもてて、小説だって今でも売れて読まれているあの太宰です。 金持ちで〜というくだりだと、志賀直哉を思い出しますが、志賀は奔放に過ぎるので「何かで思い出す」事はなさそうです。グンマの赤城山に来たそうで、赤城神社の中に志賀の石碑があります。 ルパンが金持ちか貧乏かと言えば、金持ちでしょう。すごい生まれかと言えば、すごい生まれでしょう。（ただしルブランの書くルパン＝ルパン三世の祖父ではないと思う　あまりにキャラが違うから） お金持ちで、すごい生まれで（きちんとしたマナー通りの振る舞いをルパンはやれば出来る男）、すごい相棒二人がいて、すごい美女不二子とも愛し合っている、それがルパンだろうと思います。泥棒はパフォーマンスでしょう。 そんなルパンを、監督はどうしても冴えない中年に描きたいのかと思いました。（そして次元も五ェ門もルパンに準じて　不二子はルパンに冷たくなる　ルパンもまた） ルパンがどんなに「庶民」を装っても、彼は庶民にはなれません。庶民がどんな気持ちでお金を使うのか、ルパンには永遠に分からないと思います。職業柄知っているだけです。 ルパンが金持ちで冴えていて、すごい相棒二人と美女を引き連れていて何がダメなのかと思いました。クラリス、真希は素晴らしい女性だと思いますが、ルパンシリーズに出てくるには異色の女性達です。劇中の重みが、クラリス＞ルパン、真希＞ルパンになるでしょう　監督がそう思っているから　 ラムダを連れて歩く真希、シグマに破壊と自爆を命令する真希は、オーマを連れて歩くナウシカに見えます。破壊と慈悲の混沌です。監督の書く女性達は、いつもとんでもないエネルギーのキーになる女性ばかりです。 シータ　バルスが出来る サツキ　トトロが呼べる キキ　空が飛べる 千尋　神様と会話できる ナウシカ　世界を滅ぼせる 真希　殺人兵器を操れる クラリス　 贋金作りの国の女大公　罪の中で生まれた姫 あやうく自分から窃盗犯を志願する局面さえあった 監督の世界観はすごいと思います。でもどこか浮いていて、どこか素顔を見せないと言うか、女頼みなのが太宰っぽいと思いました　ひたすら謙遜するようでいて、「別に本当はそんなこと思っていないよね」と皮肉めいた思いを抱かせるところとかも あの五所川原の斜陽館の巨大さを見てしまうと。太宰のバックにあった「富」「名声」を思わないではいられません　太宰は、まるで自分の「財産」等から逃げるみたいな監督の描くルパンにも似ていると思いました。 （関係ないが、太宰の行っていた店にルパンと言うバーがあった）

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