■氷原の貴公子よ〜と歌いたくなるような、寒さです。聖衣でも着れば寒くないのでしょうか。
星矢ワールドのいいところは。どこにでもあるような「何か」を、全然違うすごくいいものに見せるところだろうと思います。沙織さんのお髪、おぐしとか、おめしもの、単なる「線」をはるかに超えた、意思ある何かに見えます。
後、「なぐられた」「泣いた」「怒った」「恨みを抱いた」などのどちらかと言うと負の内容のものも、宝石のように描いてくれるマジック。
■先日、居場所とか高尚な事を書いてしまいましたが。今はどこを見ても雪と氷の世界なので、おのずと生存可能な範囲が決まっています。
精神的には、「頑張れば自由になれる!足らないのは気持ちよ気持ち!」みたいな、悪魔的なプレッシャーから逃れられます。シェイクスピアのごとく、生か死かという外気温です。
自由と言えば、ピアノの森ですが。
壮絶な森の端の描写が冒頭で結構あります。カイは、森の端の生まれ故に、中学校も出られない勢いでした。阿字野の努力、カイも頑張った!とかは節々で分かりますが、だんだん「生まれ」の話は減っていきます。
自身と阿字野の頑張りで、ピアニスト・カイの話になっていきます。カイの話と言うより、ピアニストたちの話になっていきます。
この辺が、なんか読み飛ばしたかなと思うくらい、あっさりしています。当時の雨宮の観察なんて、一割もカイの事わかっていないでしょう。
カイは余りに忙しくて。カイは学生であり、マリアであり、阿字野の弟子であり、調律師でもあるというハイパーぶりです。森の端のこと「なんて」、口にしても分かる人はいないし、前向きの一言です。
ただ
カイのピアノを聞くと、皆が自由だと言います。カイの奔放さというより、カイが自由を求めていた、ピアノがカイに自由を与えているのかなと思います。カイにはピアノしかありません。
完全なる、ピアノと自分との自由の世界。そんな素晴らしい世界を、カイは若いながら作ったのかなと思います。カイのピアノは森を通り抜ける風であり、おおらかな海風であり、カイの「希望」なのかもしれません。だから、カイと同じように自由や希望が欲しい人の心を揺らすのだろうと思います。
俺は不自由!俺はかわいそう!俺は〜とグズグズ言うのはやはりカイらしくないです。翼が欲しかったら、翼を得ようとする、それがカイなのかなと。 |
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