■多分5〜10回目くらいの明暗を読了しました。何回目だったか覚えていません。長くて暗い話なのですが、津田が温泉に向かうくだりが美しいです。
湯河原に舞台が変わるあの瞬間は、長くて重い明暗の最初のハイライトでしょう。漱石は自然や鉄道、温泉場を題材にした時が一番キラキラしています。
墓碑を書くのだという書家の話は、延たちの話と関係あるのでしょうか。漱石なのでムダは少なく書きそうですが。夫婦じゃないかもしれない男女連れの事なども、何の関係があったのか。
津田たちは、例えばこころの先生のような、いわゆる漱石の分身ではない、異物、イレギュラーのようによく言われます。私は今回、そう思いませんでした。
津田も延も、インチキ臭い嫌なイヤらしい吉川夫人も、岡本も藤井も、秀も小林も、みんな漱石のキャラだとしみじみ思いました。直前に行人を読んだからかもしれません。
みんな小心で見栄っ張りで、ケチで頑固で。周囲の顔色ばっかりうかがって、疑い深くて。絶対に家族にも恋人にも本心を言わなくて。それでいて、「あたしを愛して」と大声で言い続ける人達。延はそのまんまの人ですが、大なり小なり、猫や坊ちゃんの頃から変わっていない気がします。
探偵趣味と言おうか、人の本音を暴くの大好きと言おうか。吉川夫人は、生み出されるべくして生み出されたと思います。二郎に不倫をけしかける一郎、弟子に妻を与えようとする先生、ヤバい人しかいないのかと。
(誉め言葉。あの戦争賛美のご時勢で、よくここまで書いたと思う。ある意味細雪以上の、わきまえない内容だったと言えそう。もう少し漱石が長生きしたら、発禁されたかもしれない)
■キンちゃんの血には、北関東人の血が流れていると思うと、納得するとともに、興奮を隠せません。断言できませんが、多分キンちゃんの母方のお祖母さん・お祖父さんも北関東人でしょう。
(断言できないと言えば、なんでも妄想が許される気がする。なんとなく、キンちゃんの性格は関東人っぽい気がしなくもない。カッとなったり、お上品さが足りなかったり、後先考えないところがあったり。権威的なものに、素直に従順になるだろうところとか。(武家の多い土地柄?)
グンマの性格は、どちらかと言えば北陸と京阪神的な古豪の雰囲気に近い気がする。本音が分かりにくいあたりの。そしてキンちゃんはそんなグンマの複雑性にあんまり気が付いていないと思う。
高松は、関西的な重層の肌合いには慣れっこの様な気がする。ただ高松自身は身に着けてない。)
グンマが水戸、イバラキに家出する話を考えたのですが。筑波大出身かもしれないイバラキ(妄想は自由)のつてで、誰も自分を偏見の目で見ない、自由な学問の地に行きたいとか思い立って。
(旧帝大があるのに自由なのは京都なんだけど。パプワには西日本の縁のある人が多いので、家出先には向かない。穴場は北関東か)
水戸駅にすがすがしい気持ちで降り立ったグンマ様。多分、理系の王国筑波大を有する県の県都なので、高松に出くわすと思う。駅までメロンとか買っていそうな高松。「これグンマ様のお土産にいいですね」とか、連れのキンちゃんに話していそう。
理系のエリアには、ことごとく高松がそこそこ重要な地位を占めていそう。頭いい人は往々にしてそういうものらしい
ただし筑波大学の最寄り駅はJRなら、ひたち野うしくあたりらしい。むしろグンマ様が国際線で移動するのなら、秋葉原からつくばエクスプレスに乗ると思う。専用タクシーだろうけれども。
小説に書くなら、むりやり筑波大が水戸にあるようにして書くと思う。偕楽園あたりに筑波大がある体で。コロナ禍が終わったら絶対梅を見に行くんだ。 |
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