■獅子文六を読んでいます。リアルタイム重視の小説だと思われ、結構当時を知らないと読みにくい感じが強いです。セリフの部分とか、なんでここで片仮名使うのさと思います。(昔のあみちゃんのノリに近く思えた)
作中に「最近荷風が亡くなった」とあり、ああそんな頃の本なのだと思いました。荷風と言うと戦前の空気が強いですが、亡くなったのは1959年、生まれたのは1879年です。そりゃあ戦後の日本のノリにはついていけなかったかもなあと思います。
あと
そう言えば読んでいる本が、「金持ち」の書いた本ばかりだったなと思いました。漱石も金がないとは言いますが、そんなことありません。谷崎も、金が欲しいといいながらしっかり稼ぐ人でした。荷風は言わずもがな資産家です。
戦前だと、作家と言えば大体金持ちと思って差し支えないと思います(白樺派とか)。貧乏で悲しいとか書いている作家も、大体資産家の子供と思っていいだろうと思います(太宰とか)。戦後なんだろうなと、劇中の人物達の身分の差みたいなのが薄れたのは。
■ものすごく有名な小説、漱石も読んでいたと言う高慢と偏見についてです。
・ベネットさんちの崩壊ぶりはすごい
・子供が女子しかいないので、ベネット氏の財産は甥のコリンズ氏に行くことが決定している。ベネット家の女子達は、結婚するしか生きる道がない
結婚しないと生きる道がないのは、この小説の時代のこの階級の女子には当然の事なのだけど、なかには多額の資産があって、結婚しないでも済む場合、もしくは稼げる兄弟がいると結婚しない場合もあるらしい(ジェーンの人生がそうだった)。
結婚するしかないベネット家の娘達
結婚に必要なのは金
金
5人の女子に、相応の持参金を用意しないと困る事は目に見えて分かっているのに全く考えていないベネット夫妻。一定の収入はあるものの、娘達との散財に全て使ってしまう夫人(夫人なりの「婚活」とも言える散財の数々)。
散財する妻と娘達を、ニヤニヤ笑うベネット氏
いや、あんたがしっかりしないと一家崩壊じゃんと思うが、どうしてもダラダラ、ニヤニヤして一家を守ろうとしないベネット氏(こういう確信的な放漫さを、ごく初期に気が付くダーシー)
結局、娘の一人が駆け落ちして、結婚の用意が何にも出来ないベネット氏は一気に困るわけで
もともと娘の一人が駆け落ちに走った理由は、ダーシーがエリザベスに熱心であったことも原因なので、金と影響力を駆使してベネット家を救うダーシー めでたしめでたし
(今後、エリザベスとダーシーの夫婦は奔放な妹夫妻に、どんなにか苦しめられるだろうと思う)
今だってベネット氏みたいな「足らん」男も、ベネット夫人の様な散財しまくる女性も、ただただ翻弄されるジェインみたいな娘もいるけれど。
ダーシー一人が地球上にいないのはどうして |
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