久しぶりに陳舜臣先生の小説を読んでいます。孫文を扱ったもので、「青山一髪」です。先生らしいタイトルです。日清戦争終結直後から話が始まるのですが、非常にのんびりした出だしです。この時代の中国を扱った小説なんて、もっと攻撃的なものが多いですが(そうでなくても歴史物って殊更な描写が多いけど)、ああ、先生だなと思いました。
先生のもので印象に残っているのは、自分個人のバイブルである「諸葛孔明」を除けば、「耶律楚材」です。耶律は契丹の人の姓で、名前が楚材です。中国の中でも南方で異国扱いだった「楚」の「人材」という意味で、故郷から離れても、輝ける人であれという名前です。長く日本で活躍している先生らしいというか、こういう小説をたまに読むと安心します。
三国志を扱った小説が先生にはいくつかありますが、多分、出回っている三国志ものでは、一番マイルドでしょう。
オースティンの「高慢と偏見」を読み終えました。数年ぶりに読んだせいか、オースティンの意地の悪さと、終盤のダーシーとエリザベスのイチャイチャがすごかったなと。ダーシーもエリザベスも、「自分に厳しい」人間だと自認しているせいか、たがの外れた時の二人のいちゃつきはすごいです。結婚しても、否、結婚後の方が何かと燃えそうな人達。
英国ものなので、なにがどうすごいという事もないんですが。淡々とお互いの愛情を告白し合う姿が、ひたすら甘いです。訳者によって多少は変わってくると思いますが、もしオースティンも彼等の結婚に本懐を感じていたのなら、「オースティンも小憎らしいことばかり書くけど、女性だな」と思います。
(後半のダーシーの王子様ぶりはすごい。本当に広大な領地、財産と高い身分、教養その他がダーシーにはある。エリザベスは言葉を選ばないでいいのなら、「玉の輿」。嫌な話、ダーシーが笑顔でみんなを仕切ってくれれば、ついでにお金も出してくれればと、周囲が見ていそう。ビングリー夫妻も、自分達の方が年長の夫婦なのにダーシーに相談するのだろうし、つっけんどんな男のままでいた方が、ダーシーは楽っちゃ楽だったのか。)
英国ものというとサッカレーか、ドイル、クリスティーくらいしか読んでいませんが、サッカレーの「虚栄の市」のドビン氏の一途さは覚えています。初恋の女性が、女学生、(友人の)新妻、一児の母、寡婦となる過程を全て支え、彼女が自分に振り向くまで愛し続けています。もちろん、ヒロインのアミーリアとドビン氏の結婚で話は終わります。英国紳士すごい(ビクトリア朝時代故?オースティンは摂政時代だけど)。小説を読むと英国の軍人は、尊敬され、期待されている事が多いようです。愛国心は強そうですし、経済的にも他国より安定していたのかもしれません。女性には紳士的に接し、仲間には友情を惜しまない・・・。日本の軍人さんの事をつい考えてしまいますが、そこは国力の違いでしょう。
ヘタリア関連で、少し外国の軍人さんについて調べた事があります。脚色されている部分もあるでしょうが、多彩です。英国軍は強いですし、裕福な印象があります。 |
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