「高慢と偏見」って、ビングリーとジェインが相思相愛になる所から話が始まるのでいいと思うんですが。順調に愛を育むと思われた2人が、ジェインの家族の無法ぶりに呆れたダーシーによって阻まれ、ジェインは悲しみ、エリザベスは怒る・・・というのが最初の山場だったと思います。
と、言うことは。「ダーシーは物語のかなり初めの方でエリザベスに恋していた」と仮定すると、べネット一家の暴れようを見つつも、エリザベスに恋してたという事になります。ビングリーが知るよしもなく。そう思うと、物語前半の山場、ダーシーの求愛は、彼としては譲歩に譲歩しての事だったのでしょう。自分に対等に振る舞う若い女性、しかも財産のない女性なんて、初めてだったでしょうし。
だからダーシーの評価が高まるとも思いませんが。物語の当初、自分が全否定したべネット一家を受け入れたダーシーは、偉いのかなとは思います。エリザベスとの結婚後、ビングリーの一番の友人として家庭内の話まで聞かなければならないだろうし、浪費してやまないリディアとウィッカムの後始末も、彼は繰り返し請け負わなければいけません。
エリザベスは理性的な女性かもしれないけれど、お金がありません、全額ダーシー持ち。でも相談無しであれこれ家庭の事を処分してしまったら、エリザベスに恐らくどやされるダーシー。恋愛中だったらロマンスで済んだのに。「エリザベスの尻に敷かれるダーシー」が目に浮かびます。(ダーシーを敬愛する使用人達とエリザベスは本当に馬が合うのだろうか。合うと思うけど。)
未婚のエリザベスの妹、メアリとキティの嫁ぎ先を考えてやり、べネット夫妻の老後の世話も、ダーシーがするのでしょう。べネット氏の土地はコリンズが相続するとしても、土地の管理についてキャサリン令夫人が口を出せば、ダーシーの妻になったエリザベスが黙ってはいません。
結婚後、山の様に押し寄せるこれらに、ダーシーはどう立ち向かうんでしょう。エリザベスの期待には応えたいでしょうから、彼の四苦八苦する姿を見てみたかったものです。ダーシー家の莫大な財産に対して、女主人になったエリザベスの振るまいとか。エリザベスがダーシーの使用人達に受け入れられるのかとか(まあ問題なさそう)。「その後の高慢と偏見」ってのも興味ありますが、今の所、誰かが執筆したという事は聞いていません。
叔母であり、何事にもパワフルなキャサリン令夫人と、譲歩という事を時々忘れる妻エリザベス。・・・・意外に、普通の家庭ドラマになりそうです。多分、ビングリーとジェインの子供が、ダーシーとエリザベスの子供と結婚して・・・という感じの。 |
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