西洋のことわざに、身分の高い生まれの子供に対し「銀のスプーンをくわえて生まれてきた」という言い方があります。「食べ物に困らないくらい恵まれた生まれ」というニュアンスだったと思います。
明治時代の作家、中勘助の作品に「銀の匙」というのがありまして、作中に銀のスプーンが実際出てきます。西洋の貴族の様な贅沢なニュアンスは薄く、淡々としていながらも無償の愛に包まれた作者の幼年期への懐古としてまとまっています。漱石が絶賛したという辺り、この作品のニュートラルさがうかがえます。学生時代に読みましたが、読んでいると周囲の空気までもが、温かみを帯びるような、そんないい作品です。
なんで、ハガレンの作者は新作に「銀の匙」とつけたかなあと。今コンビニに行くと、目立つ所にギッシリと「銀の匙」が置いてあります。本が売れない時代によくここまでと賞賛する反面、なんで「銀の匙」とつけたかなと。少しだけ読んでみましたが、ハガレンが最高潮だった時も、あんまり読み込めなかったくらいなので、今回も距離を置くと思います。
自分は、馬を生き物としても、乗り物としても好きです。学生時代に親しんだ事もありますし、顔見知りの馬もいます。町内の牧場にも何回か行った事があります。・・・チラ読みした「銀の匙」での、馬の描かれようは不正解ではないと思いますが、馬好きの人なら漫画でなく本物に親しむ方を選ぶでしょう。漫画として「銀の匙」がヒットしているのなら、日本のサブカルのホットな話題として、素敵だなと思います。 |
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