谷崎潤一郎の小説について書かれた論文集を呼んでいます。耳目を集めそうな奇行を含んだ小説が多いので、谷崎が好きだと大きな声では普段言わないんですが、やっぱり好きだなと。捨て鉢の美学と言うか、底辺で初めて見つけられる安らぎと言おうか。
あんまり疲れていたので軽く眠ったら、夢の中で南国アニメのオリジナルが流れていました。矢継ぎ早にパプワ島を襲った刺客さん達と、髪の長いキンちゃんと、すっかり「キンタロー様の世話役」に収まったドクター高松のアニメでした。しかも何故か高松は青い色違いの服を着てすましていて、睡眠中の夢にせよ脳は起きているという例。真のダークマターは高松本人じゃないかと。
何故高松の下から「お気遣いの紳士」が誕生したのかとも思いますが、案外高松はわきまえている人なのかもしれません。キンちゃんも素直だからよく呑み込むんでしょうし。(だからキンちゃんが一人前になると自分でお役御免と勝手に思い込み、側からいなくなってしまう。ルザ様との唐突な別れの経験が高松をそうさせるのだと思うけど、今後はキンちゃん次第かなと。)
ルザ様についてです。
今でこそ、ルザ様に心酔する高松の姿がテンプレですが、ルザ様の性格に馴染まない頃の高松を想像する事も意外と可能です。肉親のハレが見たルザ様像の方が、実際に近いんじゃないかと思う分。
でもハレの小鳥のエピソードって、ハレにも疑問な部分があって。ハレはペットだったカナリアだかオウムに、名前をつけていません。そして恐らく、ルザ様に「ペットを世話している」姿をハレは見せていないと思います。小学生低学年くらいのハレにはペットの世話は難しいと思いますが、名前くらいつけられたんじゃないかなと。
小動物を握りつぶせるルザ様も疑問ですが、ハレの趣味は確か狩猟です。ナディアが見たら青筋立てるくらいの勢いで、英国貴族の様に鹿だの狐だの熊だの撃ちまくっていると思います。ハレもハレで小鳥一羽に、まして世話も使用人達がしていて、ピーコちゃんとか名前も付けてあげなかったカナリア一羽どうこうされて、傷つくような男だったっけと。
まして機嫌のよくない時のルザ様なんて、小鳥一羽で済んでよかったとすら思います。ルザ様の「奇行」を知っても、「夏目漱石も家庭では妻が彼の脳そのものを疑うくらいの奇行を繰り返していた」「普通と呼ばれる多くの一般男性が、ルザ様より優しくて出来た男だとは夢にも思わない」ので、自分とすると今更ルザ様の振る舞いをどうこう思いません。
小鳥の話はここまでで、高松の話です。
高松は士官学校に入ったばかりで、ルザ様に慣れない時、一回や二回は逃げ出そうとしたんじゃないかなと思います。世界的に有名な科学者や軍医になれるチャンスでも、監督しているだろうルザ様についていけなければそれまでです。ただ逃走しても捕まるから、自分のカルテやレントゲン写真を誤魔化して、「実家に帰って静養する必要がある」として、当時の士官学校のドクターをだまして休学しようとしたとか。
そんな子供の茶番を見逃すルザ様でなく。高松少年の無駄に頭がいい部分を評価しそう。(普通ならえげつない子供としてしか見られない茶番だけど、ルザ様なので高松少年の能力として評価しそうな気配。色々な意味でルザ様は普通の教員には向かない気がする。)
そして、ルザ様直々に高松少年に「健康診断」を行う展開に。ルザ様なので高松少年が改ざんしたカルテの類を確かめるくらいの意味合いなのだろうけど、成人した高松の動向を思うに、「健康診断」は「健康診断」だったんだろうなと妄想します。その後ルザ様にはむかう事も減り、高松が徐々に従順になっていったとしたら、高松も強者と呼んでいいと思います。 |
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