(※念頭にあったのは鴎外の「舞姫」です。もっとも随分骨太なエリスと「身勝手」さは十分対等な豊太郎ですが。)
ルーザー様の死はマジックを始めとする青の一族への諌死だったという説を、ここしばらく考えています。パプワ島で蘇ったルザ様が何か明るいものを感じたとしたらキンちゃんと高松が一緒にいる所なのですが、それとは別に彼には一族への異議申し立てがあったと思います。マジックはルーザーの自死は「ルーザー自身の事」と決めつけて整頓したがっていますが、ルーザーの生前の様子からするともっと大きな悩みだったと思います。悩みの引き金はサビの自傷行為だったとしても。
「もうこんな事(一族挙げての世界征服&破壊活動?)やめませんか、兄さん。」と死んでいったルーザー様は言っていたんじゃないかなと思います。青の一族全体の方向性、ガンマ団とは何なのかという悩みなので、生まれてくる小さな息子と、例え愛されていたとしても一族の生まれではない高松には共有できないルーザー様の悩みです。
素で冷酷無比だったろうルザ様が、高松に慕われた事とキンちゃんの誕生が近い事から、サビの悲しみを感じ取れるくらい変わったのかもしれません(※希望的妄想の一部)。
生まれてくるキンタローとキンタローを育てる事になるだろう高松に対しても、肯定的な意味合いが彼の自死にあったのだろうかと思います。残される高松にしたらこっちが悶死しそうな彼の行為ですが。もしルーザー様の「諌死」がマジックに届いていたならば、今後サビの様な悲劇は起きないのかもしれません。ひいてはキンちゃんと高松の今後も、「殺人集団のエリート」及び「殺人集団のドクター」とは違うものになったでしょう。
でもマジックはルーザー様の「諌死」を「弟個人のつまづき」と見なして、自分の覇道を推し進めました。
高松がマジックを恨むのならルザ様を奪われたからではなく、命を賭けてまで兄に伝えたかったメッセージをマジックが「一族焦眉の問題」ではなく「ルーザー個人の煩悶」としか扱わなかったからでしょう。高松はルーザー様の思考回路を本気でトレースすれば、置いていかれた悲しみの中から彼の真意を探せると思います。
結局、ガンマ団は変わりませんでした。カネさえもらえれば理由なく破壊行為を続ける団体のままです。シンタローが一族の運命を変えたんだとは、自分は思っていません。個人的にシンタローにわだかまりがあるせいです。ジャンのせいで死んだ様なもののルーザー様の願いが、赤の番人がらみの男にサラッと解決されたと思う事を私は拒みます。
(ならキンちゃんを総帥にとも思わない。キンちゃんは父や高松と同じ、サポートする方の才能に恵まれている子だから。ルーザー様の死が「諌死」であるのなら、対象は実兄マジック一人だと思う。・・・という本を出そうと思う。)
思いつくまま描けそうな分、パプワというか高松の原稿を描いていました。南国、PAPUWA共にギャグ漫画だったので気が付かなかったのですが、高松が「ルーザー様と自分」を故意か偶然が主張するのって、「私はルーザー様の遺族です」と言っているのと同じなのだなと思いました。
グンマとキンタローのブロマイドを持ち歩いている高松は微笑ましいと言っていいと思いますが、ルーザー様のお写真というか遺影をひっそり誰も来ないような研究室の奥に飾って置くのは、見てはいけない高松の姿では。
鉛筆で高松を描きながら、いつもの高松の様に笑っているのに何か別物に見えると考えていました。ああ、南国アニメの様に生き生きした笑顔ではなく、生きている人を見ていない時の笑みだなと思いました。普段どうして自分が高松はキンちゃんとセットで考えようとしているのか、今更ながら分かった気がします。
キンちゃんが生きているからです。ルーザー様が南国終盤で再度去って行った時満足そうだったのは、息子と高松の姿が確認できたからでしょう。一度目に去った時も、息子には高松がいたから自分の望んだ様にしてしまったのかなと思うくらいです。高松が「ルーザーの遺族」なのは間違いないと思うのですが、ルーザー様のお心を思っても、高松の心がそれだけで埋め尽くされていたら悲しいなと思います。
(ルーザー様が、自分がいなくなっても生まれて来る息子には高松がいるからいいとか思わないで、自分がいなくなったら高松もキンちゃんも兄弟も他の皆も耐えられないくらいの喪失感と悲しみを抱くんだと想像してくれれば違ったかも。
でも南国終盤の「本当にどうしようもない馬鹿だよお前らは」はルーザー様の本音じゃないかと思う。もしルーザー様の一回目の死がマジックへの諌死だったとしたら、誰もあの頃と何も変わっていないから出てきた言葉かも。高松も罪深い自分の事なんて忘れたくれたかなと思ってみたけど、全然24年前と変わっていなかった。しんみりする所だと思うけど、ルザ様なら怒り出しそう。) |
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