独断と偏見のパプワ雑感です。ルザ様と高松とキンちゃんのために。先に少しだけ全体の感想を書きます。自分は新選組ゆかりの地なら大体回りました。
■リアルな新選組に武田観柳斎という男がいて。ガチでアレだったという面でも有名。時代ものなら珍しくないけど。何故PAPUWA原作者はそこに食いつかなかったのか。昔、徳間書店からクレームが出ただろうくらい愛好しているはずのに。まさか新選組を元ネタにしているのに知らなかったと。
山南ケースケを見ていると、他の小説等に出てくる温厚で近藤寄だった山南敬助さん(※自分は彼の墓参りにも行ったくらい大好き)というより、頭脳派で策謀家、同性(マジックだけだけど)に熱を上げるあたりは、観柳斎に近いと思う。
山南ケースケとキンちゃんの頭脳戦とか見てみたかった。でもキンちゃんは技術力はあれど、えげつなくないので負けそう。「マジック先生ご覧になっていますか」と興奮する山南と、「キンタロー様が怪我でもしたらどうしてくれるんですか」としゃしゃり出る医者の全面対決なら五分五分かなあ。山南は心戦組の軍事力を動員できる立場だから有利だし、高松はキングギドラ化しても所詮黒子の身なので不利。ハレから特戦の兵力を奪えばいいのか。
■PAPUWAで赤・青の秘石が両方どっか行ったが、あれは「マジック達が青の秘石から解放された」と思っていいのだろうか。南国で赤青両方の秘石から翻弄されたというより、もみくちゃにされて訳のわからない存在にされたシンタローは兎も角、現行の青の一族達は楽になったのだろうか。秘石に由来する凶暴性が減ったのだろうか。
(キン・グン、及びシンタローの代に限っては幼少期から父ないし父代わりから溺愛されていたので、暴力で欲望を満たす必要が少なかったせいか、懸念されている程暴発しない気が。他人の物を力尽くで奪うよりも、「高松バニラアイス食べたい」って言う方が楽。ハレも身内がほぼ全員私立軍人だったせいでああいう道を選んだだけで、実際人間味のある男には違いない。)
地上から秘石の影響はなくなりました、みんな普通の男として生きていける様になりましたと言いたいが、絵に描いた様な家庭を築いたのがパプワ夫妻とアラシヤマ夫妻のみという現状。(キンちゃんに縁談は無くはないと思うし、高松が青の一族の誰かの奥様に「おめでとうございます、三ヶ月ですよ」と言う場面が個人的に見たいのだが、どうだろう。)
秘石がなくなったのに、ジャン・リキッド・ソージ・アスが依然番人、番人の特権を謳歌しているのはなんで。南国とPAPUWAを一気に読むとアスが普通に生きているので、ルザ様が南国でキンちゃんに求めた、「死人の自分に宿った青の秘石の番人を撃て」というのが無効になっている切なさ。番人なら番人らしく秘石と運命を共にしろと言いたい。ジャン・リキッド・ソージ・アスこそが、劇中で自由気儘に時間と体力を消費している。
アスは嫌いじゃない。キンちゃんにつまんないちょっかい出して欲しい。高松が受けて立つから。ソージも番人だと明かされていない事から好き。
■本編で執拗にマジックが「ルーザーは善悪の判断が出来ない」と言います。「だから弟のサービスを傷つけて初めて罪悪感を感じた」のだと。私も最近までマジックの言う通りなのだろうと、ルザ様の気持ちを捉えていました。でも違うなと。ルザ高、キン高キンな最近の原稿を描いていて、マジックの言うルザ様はルザ様本来の姿じゃないなと思いました。
■ルザ様はあえて、自分の行動の価値を長い事考えなかったのではと思います。全ては兄のマジックの覇業のため。先祖代々続いて来た戦争代行人。青い目を持つ自分達の破壊衝動の消化のための、「死の商人」たるガンマ団の一員としてとった行動だったんじゃないかと思います。スレている癖に情が深い高松に出会って、キンちゃんのパパになる自分を想像して、「何かが違う」と思ったんじゃないでしょうか。
■マジックは戦死したライオンパパへの悔やみのために冷酷になった。 ■ルーザーはマジックの意図を「正確に」把握し、自分をただの殺人の「道具」と思う様にした。ただし父親になる自分を想像して変わったのでは。「僕達一族はこのままじゃいけない」と。 ■高松はルザ様の内面の変容に気が付いていたけど、自分一人でガンマ団を変えられるはずもなく、ルザ様の様なマジックの「道具」としての態度を選んだ。愛するキン・グンには精一杯「自己肯定感」を与えて、「一族の義務(殺人)」以外にも、自分が認知されうる事を教えた。「そんな事をなさらなくとも、私は貴方が大好きですよ」と。 ■キンちゃんは、色々あって新総帥である従兄弟のシンタローが変革を希望したので、亡父と高松が選んだ様な単なる「道具」としての生き方をせずに済みそう。後はガンマ団が戦争請負業者でなくて、例えば正式な国家の国防にでも携わる事が出来ればいいのに。
お気遣いの紳士と書いて、ガンマ団の癒し系。ブロマイドの売れ行きも良好だが、元締めが強硬な47歳なので違法コピーした団員はバイオホウセンカで撃たれる。貫通しないから当たっても青アザくらいで死にはしないけど、やたら恥ずかしい見せしめ。
と、いう感じでしょうか。マジックはルザ様が一人で勝手に罪悪感を背負って自死していったとした方が都合がいいと思いますが、そもそも「科学技術(=ルーザー)」それ自体に善悪の判断は出来ません。使う人(=マジック)次第です。 |
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