原稿を書いていて、何か繰り返すなあと思いました。引き出しを増やそうとしてリア充っぽい慣れない事をした事もありましたが、安らげる穴に帰って来てしまいます。よく読む漱石、谷崎、荷風だって同じテーマをずっと追っているじゃないと一瞬強がってみましたが、すぐ、永年の鑑賞に耐えうる名作を残していった文豪になんて事をと思いました。
漱石の三部作「三四郎」「それから」「門」はそれぞれで読めますし、広田先生、代助、宗助は漱石の分身だったかもしれないけれど、劇中でちゃんと生きています。谷崎も佐助や貞之助に託す部分は多かったと思うけど、やっぱり独立したキャラになっています。荷風の場合は何故あそこまで異性を描きこめるのか不思議でなりません。書けば書く程艶が増す荷風の作風が好きです。劇中で荷風っぽい人は幾人か出て来ますが、実際の荷風とは別人だと思います。
高松二次創作雑感です。
■書いていて「厚くなる」と思ったが、たった一冊の中に繰り返しが多い気がした。たった3名、高松、ルザ様、キンちゃんで何か書けば重複は多くなるし、高松の日常って研究室か医務室なので、ある程度はそうなると思っても。キンちゃんも綺麗にワンパターンな部分がある子だと思う。ルザ様は基本的に好きな事しかしないので、行動の選択肢がおのずと少なそう。 ■高松の幸せって「ルーザー様をお助けし、キンタロー様を育てる」事にあるので本編の高松も、パラレルで高松を書いたとしても、たどり着くところは似ているのだと思う。だからって同じネタ何度も書いて無駄に厚い本を作る言い訳にはしたくないなあ。 ■ルザ様もキンちゃんも自分の体を大事にしない方の人なので、高松は大変だけど接点が多くて幸せそう。というより「無理が過ぎたら高松が騒ぎ出すから、これくらいまだ大丈夫だ」とか、高松を目盛りにしていそうな父子。キンちゃんも過保護故の無茶ぶりじゃないだろうか。「そのうち高松が夜食持って来てくれて、小言いいながら書類整理手伝ってくれる」というのが身についてしまったので、一人でいると適度にスケジュールを調整できないのでは。(シンタローの補佐は歴とした仕事なのでこなせるんだろう)
■普通の人なら、「高名な医師になる」「高額な報酬」「周囲からの賞賛」とか欲しいものが別にあると思うけど、高松の場合そういうのはお腹一杯っぽい。生来仕事好きでもあるし。ルザ様かキンちゃんが何か賞でももらえば歓喜するのに、自分がノーベル賞候補になっても退屈していそうな気がするドクター。 ■そんな高松が、「ルーザー様を不意打ちの様な事情で奪われ、息子のキンタロー様は24年も神隠しに遭う」という悲劇。よく耐えられたというか、グンマを育てている高松に、自分を幸せにしようという発想はなかったと思う。何となくボンヤリしているうちに、マジックにいい様にルーザー様の後釜にされていただけでは。ガンマ団にいれば、ルーザー様の残り香が感じられるので高松は遠くには動けなそうだし。
■上で「繰り返し」と書いたけど、「それぞれ違うんだもん」という言い訳をしてみる。「それぞれ」を挙げてみる。書いている本人はいたって正気です。
■サビの事ばかり気にして高松をプライベートでは顧みない大層なブラコンルーザー様。この場合高松がまんま灰かぶり。作中のルザ様は実際まさにこんな感じ。 ■ルザ様存命パラレルとして。ルザ様は青の一族の規定通り息子をもうける。お仕事とサビの相手で時間も気持ちも全部使ってしまい高松は放置。大きくなったキンちゃんが「高松は俺が幸せにする」と言い出すルーザー家。 ■同パラレルとして。息子と高松と仲良く暮らしているが、真面目にガンマ団の今後を憂い、命がけで兄に諫言してみるルーザー様。「高松は頼んだ」と中学生くらいのキンちゃんに言って少し辛そうなルザ様。 ■同パラレルとして。三人仲良く暮らすルーザー家。キンちゃんにお見合いの話が持ち上がっているので実らせたい高松。こんな仕事しているので、もし自分や父がいなくなったら高松がどんなに寂しいだろうと、いまいち乗り気でないキンタロー様。傍観しているルザ様、多分破談。 ■劇中のまま寂しい24年間を過ごす高松と、魔法の様に高松の前に現れたパパそっくりなキンちゃんのお話。父さんはどこかにいってしまった訳じゃない、お前の中にいるんだからと言ってくれるキンタロー様。
(実際はちゃんとお父さんの眠る世界にいけたらしいルザ様。PAPUWAの青の一族の元気玉シーンは笑い飛ばそうと思ったが、ルザ様が成仏できたらしい点がよかった。それとも青の一族はみんなで死後冥界で罪を償っているんだろうか。) |
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