そんなに前ではないんですがフランスの小説にはまっていた頃、バルザックの「谷間のゆり」を読みました。荷風を読んでもゾラを読まないと分からないよなと思いながら何となく知っているフランスものを読んでいました。教科書的に言うとバルザックの方が時代的に前で写実主義、ゾラはその後の人で自然主義です。(自然主義ってなんて混乱する概念なんでしょう。)
記憶違いだったら申し訳ないんですが、「谷間のゆり」はさる貴婦人に若い青年がプラトニックな感情を捧げる話です。青年が夫人のために野原で花束を作る様な話なので内容はおっとりしています。劇中の終盤で夫人が亡くなった後、夫人の娘と青年が結婚するかという場面があり、確か夫人の娘は青年を拒絶したと思います。
そりゃどんな立派な青年だか知らないけど、人妻とプラトニックな関係だったかどうかは本人同士しか知らないわけで。自分の母親の愛人と思しき青年と結婚しようなんて、ゆめ思わないでしょう。全体的に夢見がちなこの小説の中で、夫人の娘の態度はリアルでした。さいとうちほの漫画に「花音」と言うのがありまして、劇中で母の愛人と結婚させられた娘がいるんですが、彼女も夫になった男を毛嫌いしていました。親の愛人なんてそうだよなあと、思います。
すごく強引な感想ですが、南国終盤以降&PAPUWAのシンタロー&グンマの高松への感情って、その感情に似ているのかもしれません。高松が青の一族にとって色々「便利な男」だったのは疑いない所ですが、キナ臭い・胡散臭い・血生臭いドクター高松は、父親世代の部分の目に見える黒い部分であり、マジックには対しては肉親故にぶつけにくい嫌悪感が向くのかな思いました。
シンタローも思春期に高松から、恋しいような憎いような、抱きしめてあげたいような、殴り倒したいような複雑な思い(のみ)を捧げられたのかもしれません。ジャンの顔をしたルーザーの息子って、高松にとって要観察の存在でありながら、手の出しようがないでしょうし。南国終盤でキンタローの出生と、グンマの高松離れが起きたので、高松のシンタローへのフラストレーションは一応の解消を見ますが、不可解な高松の態度の理由(※シンタロー≒キンタロー)を知ったシンタローは我慢が一年以上は続かないでしょう。(※1年でキンちゃんの幹部養成研修終了という事でいいのかな)
グンマも同様で、高松はキンタローには自分に教えなかった仕事上の重要な知識や、ルーザーとの思い出話、針が吹っ飛んだ様な親愛の気持ちを惜しみなく与えるんですから、嫉妬以前に高松の手のひらを返したような態度に腹を立てたのでは。高松とするとグンマに100%の愛情を、しかしキンタロー様&ルーザー様には2000%以上(どこの乙女アニメ)が出せるというだけの自然現象なので止められなかったのかも。(あとグンマに深い話をすると眠り出すので飽き足らなかった事も、高松がキンタローにのめり込んだ理由かも)
親の「愛人」?なんて遠ざけたいというこれまた自然な感情と、シンタロー&グンマの権力を合わせれば高松に残された時間は一年でしょう(意外と長いな)。キンちゃんも2人に負けずに高松への不満だの言いそうなものですが、口から出るのは「もっと勉強を教えてほしい」「高松も伯父上の屋敷に住めばいいのに」とかだったら、シンタローとグンマの態度に圧倒されて徐々に黙るでしょう。
2人からは「キンタローがドクターに洗脳された」という認識でしょうから、キンちゃんが孤立する心配はないと思います。四半世紀前の高松とルザ様を知るハレ、マジック世代からは密かに祝われていそうな高松とキンちゃん。
キンちゃんが精神的にドジッ子なのか、キンちゃんにすれば正当な母親だから何があっても高松の事が好きなのか。いずれにせよ、高松なので周到に、プライベートが壊滅しても、仕事上の縁でガンマ団と自身を切り離せない様にしているので、そのうち復帰します。ルザ様というと兄から「善悪の判断がつかない」と不名誉な事を言われていますが、キンちゃんも別に善悪で自分の事を決める子じゃないなと思います。高松が喜ぶなら、父と似た髪型でも全然いいというあたり。番外編で高松とキンちゃんがそろってセミロングなので、仲良しは継続中らしいです(欲目)。 |
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