今にして思うのは南国少年パプワくんの面白さは、不思議な少年パプワくんと可愛いチャッピー(※増岡弘さんが「ワウ」で何もかも演じられていた)、それにどこからともなく現れては去っていく一発芸豊かな妙齢のお兄さん(マジックの好みで精悍な美形が多い)にあったのかなと思います。あと、巨大カタツムリのイトウくんと、美味しそうなタンノくんが、シンタローを追い掛け回せばよしと。
一発芸のお兄さん達でもイトウくん・タンノくんは脅威だったらしいので、南国&PAPUWAから「生物にビックリする」という行為を抜くと、意外と困る事になります。サビは「私には何も見えない」と言い出し、高松(とルザ様)は島を研究対象にしてしまい、マジックは動物好きのために生物達とフレンドリーであるという、「おいおい青の一族こええ」という状況は、実は南国少年パプワくんの世界の終焉だったと思います。(生物にいい反応していたハレは最後の正統な南国要員だったのでは。高松&ルザ様なら何名か剥製にして持って返りそう)
南国から「生物」と「パプワくん&チャッピー」を省くと、残るのは「すこしズレている美形で不老のお兄さん」でしょうか。キャラが自称・他称で美形なのは珍しい事ではありませんが、「僕美少年だから重いもの持たないよ」とか言い出す子や、本当に奴隷を所有している「女王(※43歳男性)」が普通にいるので、余所の美形が多い漫画・アニメにくらべて男色めいた雰囲気が異様に濃いです。
男色そのものが否だとは思いませんし、男ばかりいる環境というのも珍しくないでしょう(※男ばかりいるから男色めくというのは希望に過ぎないと思うけど)。戦前の帝国大学、軍隊、企業、お役所、病院、研究所、歴史小説の世界など男性社会と言われる場所は多数あります。でもそういういかにも男しかいない所に魅力的なヒロインを出して(※三四郎の美禰子みたいな女性がいいな)、物語を編み出していくのも他作品なら見どころでしょう。よく時代小説にはなんで?と思う様な娘役が出てくる時がありますが、女性キャラって大事だったんだなと思います。
南国&PAPUWAの場合、アニマル&ギャグ作品である事を省いてしまったら、本当にヒロインまで男がやっている(古めの)少女漫画である事を認めないわけにはいきません。劇中で少女漫画か少年漫画かなんて考えないで楽しめると言えば心戦組のみなさんなので、近藤達を眺めていると癒されます。近藤の心戦組は「家族」なんだという発言が大好きです。近藤自身の肉親が劇中に出ていないからこそ言える事かもしれません。ガンマ団なんて人員は使い捨てなのに(マジで特に総帥が代わってから)。
なんて事を考えたのは高松とハレの事を考えていたら、少女漫画の女の子と男の子みたいだなと思ったからです。ハレは高松と知り合ってから、「お前が学校にいるのなら俺も士官学校に入ればよかった」とか言うのかなと(欲目、色々おかしい)。
高松とハレがクラスメイトなら、「あんたまた宿題やってこなかったんですね」「お前の写すつもりだったんだ」とか毎朝言い合っているんだろうなと。中学生だったら、「付き合っているんでしょ」とか周囲に冷やかされる感じで。そういう噂が職員室まで流れて来て、ルーザー先生の機嫌が悪くなるんだろうなと。
(昔の少女漫画風の生徒と先生の淡い恋愛ものを想像したけど、ルーザー先生では淡くも何ともない。私立校で兄が理事長なので、彼を止められるのは公権力くらいだけどルーザー様だしなあ。)
高松って少女漫画っぽいキャラだなと思います。少年漫画の「大人」キャラなら弱い所なんて最後まで見せないで子供達を導こうとするでしょうが(※「封神演義」の十二仙)、高松の場合10代の恋がまだ冷めていないあたりが初々しくて好きです。(ルザ様は高松の思いを悪くなく感じていたと思っていいんだろうか。)
少女漫画にありそうな、「普通の家の子が頑張って年上の恋人と付き合える様に努力をし、恋人の家族ともそこそこ上手くやりながら、彼の子供を育て上げる」という、お話をやり遂げたドクター高松。
彼が階級の高い家の人だったので遠慮はあるけど、もしキンちゃんがお屋敷に高松を呼び寄せようとして仮病を使ったら、高松は怒ると思います。「医療」に対し不誠実な態度をとってまで、自分様な卑しい者をお屋敷に呼ぶとは間違っていますと。高松みたいなキャラは私生活を見せないでサラッと登場して去っていくのが正解だと思いますが、キンちゃん(とルザ様)には色んな顔を見せてしまっていそうです。
仮病使って高松に怒られて、マジック伯父上の屋敷を出てお前と暮らすとか言い出すキンちゃんと、「まだ貴方は子供なのですからマジック様達のお側におられた方がいいんです。」と突き放す高松とか。キンちゃんに「豪邸」以外での生活は無理だろうなというドクターの判断。 |
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