南国テレビアニメに対しての「漫画の続きをアニメで見たかった」という意見があり、自分も賛成です。ですがコタがシンタローを殺すという場面が初っ端にあります。不慮の事故だったとも言えますが、「早く帰って来て欲しいと願っていた大好きなお兄ちゃん」に弟がする事だったのだろうかと思います。物語上のフォローもありませんし。
南国テレビアニメを見ていた頃、コタに萌えるシンタローに対し「このコタローっていう子はシンタローの願望だけの存在かも。全然画面に実物が出て来ないし、本当にいるの?」と思っていました。コタは劇中に実在する男の子ですが、南国アニメの優しく素直なコタは半ばシンタローの願望だったかもしれません。コタはまだ幼稚園生くらいだったから、仮にシンタローに可愛がってもらっていたとしても、幽閉中に忘れてしまったでしょう。マジックに閉じ込められたこと、冷たくされた事の印象も強かったでしょうし。
コタが帰還したシンタローを自分の部屋に呼び寄せたのは、「大好きなお兄ちゃん」を呼んだのではなく、扉を開けさせるためだけだったと思います。ましてマジックの虐待で恐怖と人間不信に陥ったコタは、(結果的に)何年も全然助けてくれなかったシンタローではなく、シンタローの中身の、自分と同じ金髪碧眼のキンちゃんに興味があった様です。
コタとキンちゃんのタッグって面白そうです。ですが実父に虐待され続けて他人との交流もないまま秘石眼の力を蓄えていたコタと、恐らくグッスリ眠っていて、時折シンタローを溺愛するマジックの気配を、マジックから自分も愛されている様な感覚で受け止めていたキンちゃんでは、対人意識がかなり異なります。キンちゃんは「自分を愛してほしい」と願い、コタはもっと激しく冷たいです。(そんなコタを助長するルザ様。怒りを発散する事も大事って事でいいのかな。ルザ様も高松いわく嫌な事あると暴れるお人だし。)
コタは大勢の大人が問答無用に失神するまで力づくで抑え込まないとならなくなり(だから4年も昏睡したのでは。ひど過ぎる)、キンちゃんはちょっと暴れて気が済んだのか、遅れて迎えに来たタレ目のお母さんに引き取られます。キンちゃんはシンタローを通して人恋しさを募らせていた感じです。コタはPAPUWAで目が覚めた時、まっしぐらにマジックの手が及ばない所まで逃げようとしました。(シンタローの死で)目が覚めて、真っ先に父や弟を求めたキンちゃんとコタは、対人感覚が余程違うのかもと思いました。
医者なのに虐待を発見しても通告しなかった高松を許して下さい。(※医師には虐待を受けている可能性のある児童を診察した発見した際、相談所等に通告の義務がありまます)
コタ ■(恐らく高松が施した)点滴・カテーテル・ストーマを引きちぎって、父から逃れる様に一人野性味満点の孤島へ。「かわいそうな少年が最後の楽園を満喫」とも言えるし、覚醒後に治療やリハビリの機会を(好意で)失いかけたとも言える。パプワ島ってリキッドを受け入れていて、島生まれでなくてもよくなったあたりゆるい。年少ながら随一の戦闘員らしい。 ■キンタロー 心身共にある意味最高のお坊ちゃま育ちを24年間し、目を覚ましたらお母さんに会えて、過剰だが渾身の愛情を注がれる。社会に馴染んだら馴染んだで過労と複雑な親族関係に巻き込まれるが、傍系の気楽さ故かお母さんがしてくれる亡くなった父の思い出話などを聞く機会に恵まれる。(そんな描写ないけど)設定的にはバトルも頭脳戦も得意な万能青年らしいが、度を越した世間知らずなのでお母さんが心配している。
よく考えるとPAPUWAにおけるキャラの「見せ場」って難しかったなと思います。南国なら「刺客のお兄さん」という事でキャラが量産されましたし、特戦&コタ&キンちゃんも大枠で見れば「島に来た刺客」だったのだろうと思います。PAPUWAは明確な敵もいないし、青の一族がらみの諸問題も一族と他人の壁が厚く、相変わらず閉鎖的です。心戦組が物語上の「敵」だったのかもしれないんですが、むしろイサミさんがいい人過ぎて、敵に見えません。心戦組に入りたいです。山南さん大好き。アスも好きです。
原作者お気に入りだった事もあるキンちゃんの見せ場が、過労しかなさそうなのも、そんな理由だったと思います。設定オチ。見せ場じゃないんですが、高松だけジャンが科学班に来た後家出したくらい、見えない部分でストレス過多かなと思います。今まではグンマが高松の精神的なクッションになっていたのに。「お前は俺が守るから」とキンちゃんに説得されてやっと帰って来た様な(嘘八百。でも高松が罪を白状したのはキンちゃん一人のためだしなあ)。 |
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