康成の「山の音」を読み終えました。康成というと高潔なイメージですが随所随所は谷崎より濃いです。谷崎なら「またこのフェチじいさん」と笑い飛ばせるところを、康成は真顔です。世界の康成でもここまでエロいとなると、自分の本で高松がキンちゃんに読書を勧めている場面があるんですが、何を選書したんでしょう。イメージしたのは「坊っちゃん」でした。精神的娯楽。
別の本に「キンちゃんがサビと雑談していた」という場面があるんですが、今思うと高松の友人とは言えサビとキンちゃんで会話が成立するのかと。戦艦についてサビがキンちゃんに何か聞いて、ついキンちゃんが滔々と話してしまい飽きられたんだろうなと思います。グンマじゃないですが、心の中で高松を呼んだキンちゃん。
ハレについてです。先日原稿で描いてました。漫画映えしそうな男だなと思いました。ハレを小説で動かすのは難しいです。南国6巻のキンちゃんの「愉快だ!」直後の様子を漫画にしています。怪我をしたなら医者の出番でしょうと。
ぐずる患者の相手なら高松は無双です。高松は立場上赤・青関係なく、ハレも甥の負傷とくればドクターを呼ぶと思います。「畜生×12回」の時が高松とキンちゃんの初対面だと思いますが、医者・患者としてなら会っていそうかなと思いました。お父様の事には一切触れないで、ぐずるキンちゃんを淡々と診る高松っていいなと思いました。キンちゃんはまだまだ年上に憧れる年頃かも。愛してくれる人を探して彷徨しているキンちゃんが、コタの「兄」になるのは無理です。「次期総帥」の進路もお母さんと相談してから決めてと思います。
南国5巻は叔父と兄、大勢の部下に囲まれ、お洒落して御大層な軍艦に乗っているコタが幸せそうに見えないのが悲しいです。こんなコタを見たくて、テレビアニメを毎週楽しみにして、南国&PAPUWAのコミックスを最後まで読んだんじゃないと思います。昔は自分の読みが浅くて南国&PAPUWAの物語がつかめないんだと思っていましたが、そうでもなさそうです。本当にコタは公式で放置です。
キンちゃんはコタ程心の傷が深くなかったのか、お母さんの味をすぐ覚えるんですが、コタはクールに、漫画でもアニメでも読者・視聴者の知らない所で成人します。
キンちゃんも高松との日常的な描写はありませんが、療養中の高松の枕辺に書きかけの論文持って来て、読んでもらう姿が浮かびます。療養中でないとここまでしてあげられないと言わんばかりに、熱心に講義する高松としっかり高松の講義を聞くキンちゃん。なんでだろう。薬や本のにおいに高松もキンちゃんも安らぐのは、お父様のせいだと思います。
ハレの話でした。
■シンタローがコタに殺された後の超展開について来ている唯一のメインキャラかもしれません。シンタロー=ジャンでも、シンタロー=アスでもハレは動じませんし、シンタローに思い入れがないのでしょう。(ハレはマジックの尻馬に乗っているというと言い過ぎかな。)
■ヨッパライダーを殺害しそうなくらいの悪役だったマジックは親バカであり続け、南国が本当は追うはずだった「真のシンタロー」という「超展開」を呑み込んだのがハレだけになりました。ハレがキンちゃんをシンタローと呼ぶのがクールです。
■ハレはサビが好きで、マジックに頭が上がらなくて、ルーザー様を恐れながら慕っているままでいて欲しかったです。特定の部下にセクハラ・パワハラ・アルハラを繰り返す男じゃなかったと思います。ハラスメントのたぐいなら高松も常習犯でしょうが、なんかこう、ハレはだらしないおっさんのからみに傾いていった残念さがあります。(ハラスメントのタチの悪さは高松も並ぶか。マジックはチャンプ。)
■ハレが愛さなければいけない相手っていないなと思います。リキッドはお気に入りでしょうが、いつまでたっても「かまう」関係です。南国&PAPUWAは親子・恋人といった、お互いに責任のある関係を描かずに、大体脱線していますが、彼はコタにしろ白シンタローにしろ、「マジックの息子」だから構うのであって、自身の息子や妻は求めていないのだなと思います。コタはハレが嫌いじゃないでしょうが、物足りないと思います。白シンタローも欲しかったのは「優しさ」なので、「強さ」を強調されても心に響かなかったでしょう。 |
|