■「ケエル」を読んでいると「カミヨミ」であったものの萌芽を感じました。メインキャラであっても幸福そうな姿がほとんどありません。南国&PAPUWAも回収されない伏線が多数あり、段々読んでいると「ページ数があっても原作者に回収する気が無い」らしい事が分ってきます。テレビアニメやいろんなサークル様の御本、自分の妄想等で伏線を回収する事が比較的可能な分、他作品より恵まれていたのかもしれません。コタは同じ原作者の作品と比べればまだ幸せだったかも。母子関係に無残な描写が多く、兄弟関係に比較的甘いのは原作者の好みでしょうか。
■高松のルーザー様と過ごした10代の頃の成長って、いちじるしいものだったんだろうなと思います。知識欲が盛んで、身長も40センチくらいは伸びたんでしょう。その後40代半ばでキンちゃんに出会うまで、そんなに高松の心身に変化なかったと思います。(キンちゃんの「出生」が高松の心を明るくしたと思う)
10代の高松、成熟中の高松を思うと、少年の成長と言うより、女子のそれに近い気がします。「目に見えて変わる」という点と、「慕う相手の好みに従って変わる」点で。そんなに慕われてルーザー様がどう思ったのかは分りませんが、早いけど息子をもうけようと思った頃と重なるのが意味深です。
えげつない高松なのに、生来のアサシンなルーザー様なのに、2人でいると清純過ぎて、ルーザー様は今までの生き方そのものを振り返って辛かったかも。ルーザー様は生まれてくるキンちゃんを、自分の様なむごい暗殺者に育てる気だったのかは分りませんが、そんなふうに息子を育てる高松って想像すると耐えられなかったかもしれません。1人ならどうでもよかった事なのに。
■南国6巻のシンタローの「大人になったら〜」のくだりが未だによく分りません。白シンタローとガチバトルした後の場面(全裸でか)なのは分りますが、VS白シンタローと「大人になったら〜」のくだりがつながっていない気がします。昔はコミックスを読み込めば分かると思っていました。
白シンというかキンちゃんのコタが引く崩壊ぶりは高松に任せるとして。白シン期って、生まれたばかりのヒナや幼魚が、卵の頃に卵の中で蓄えた栄養だけで数日生きている状態だったのでしょう。自分で栄養を取れる様になるか、親が子育てを始めるまでのわずかな時間だったのでは。殻から出て不安定だったから、父を真似て覇王になるとか言ってみたのでは。
(嫌な事や辛い事から逃げないからキンちゃん(と高松)が好き。キンちゃんは白シンタロー期の記憶を生かして現実的にコタの復帰を応援しようとしていたと思う。「医者に相談する」という事になるが、直系家族達の了承や如何に。マジックは医者に肯定的だけど、マジックはシンタローの機嫌を取るためなら、医療放棄してコタを見殺しにすると思う。)
シンタローのいう「大人になった」って、24歳になった事以外指していません(サビやグンマもそんな感じ)。家出したことやガンマ団ナンバーワンだった事を指している訳でもないでしょうし、耐えられない事があって「自分はガキだ、大人になりたい」とシンタローが言うなら分かるんです。「自分は大人だけど理想としていた大人じゃない」というのが回りくどいというか、シンタローのよく言えば自信家であり、どうでもいい負け惜しみの様な気がします。言いたいのは「俺は大人だ」の一点なんだろうなと。
シンタローのキャラとしてのブレが始まった瞬間であり、南国が原作者の一方通行の愛情の嵐に染まり出す瞬間でもあります。シンタローが赤も青も関係ないといいつつ、マジック等青の一族が築いた私財・ガンマ団を受け継いだのは逃げだとしか思えません。負け惜しみで総帥しているから、軍服着ていてもしっくりこなくて、コタに絶叫されるは、キンちゃん困らせるはなのでは。
コタの救済には白シンタローも貢献できたかもしれませんが、キンちゃんがいっぱいいっぱいで、折角身内っぽく接してくれたのにコタにすまなく思います。ルーザー様がコタの手を引くという展開には弱ったというか、ルーザー様はマジックも白シンタローも放棄してしまった「悪役」として出てきたんだなと思います。唐突過ぎるルーザー様の登場は、マジック等が「いい人」化してしまった代償でしょう。蘇っても兄の尻拭いだったルーザー様。(その更に後の尻拭いをしそうな高松って最早愛なのか) |
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