madeingermany

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...... 2013年10月06日 の日記 ......
■ 妙子   [ NO. 2013100601-1 ]
谷崎の細雪についてです。
■谷崎というと刺青か春琴抄か細雪かという印象ですが、細雪のヒロインは他の小説と変わっています。雪子は旧家の御嬢様で礼儀正しく慎みがあり、家事も上手く育児や病人の看護も得意です。英語やフランス語も出来ます。美人で芸能にたくみなヒロインは珍しくありませんが、未婚で貞操観念があって、常識を踏まえていて、内向的なヒロインというのが谷崎には少ないです。(ナオミと比較すると真逆も真逆)

■谷崎にとって長らく普通の家庭というのは邪魔なもので、自由に芸術や色恋に耽る独身男性をよく書いています。そんな破天荒な暮らしに飽きたのか、年をとって女性の好みが変わったのか、松子夫人の影響なのか分りませんが、細雪は上品で大人しい内容になっています。
■細雪では今まで谷崎が筆をふるっていたはずの妙子の様な女性は、扱いが雑になりました。若い女性より、「菅野の姉」くらいの御婦人が活発です。妙子は雪子と違って自分で少しはお金を稼ぎ、御嬢様向きでない飲食店に足を運び、病気をすれば可哀想どころか、天から見放された様な描写を谷崎からされます。

■旧家の末娘として生まれ、美貌と才智に恵まれた妙子が何故こんなひどい扱いなんだと思いますが、ひとえに、谷崎が妙子が「書き慣れている」型の女性であり、当時の谷崎の関心が雪子の様な「清潔で滅多に手の届かないくらい雰囲気の固い」女性にあったからではないかと思います。細雪は妙子を散々な目に遭わせる事は悠悠出来ても、雪子の事にになると神経質の極みになります(おっさん今度は箱入り娘萌えなのか)。

南国&PAPUWAで本命らしいマジシン、ジャンザビは安楽にしていて、そうでもないルザ高は塗炭の苦しみを味わうって、細雪の雪子と妙子の関係に似ているなと思いました。(苦しみは試練だと言わんばかりに、本当のルーザー様の遺児であるキンちゃんへ愛を確立する高松が好き。)



スパークの漫画・小説でお送りする高松新刊は、タイトルが「119」、52項になります。価格は200円の予定です。よろしくお願いします。前々回の本をご覧になった方から「どの項の高松も幸せそう」というコメントを頂き、今回もそんな本です。ルーザー様は健在です。本編でどん底の高松なので、そうなってしまう事をお許し下さい。

逆に書いては消しているのがグンマの話です。ルーザー様が生きていて、キンちゃんが「両親」と暮らすパラレルなら、(シンタローはおらず)グンマは最初から総帥の御曹司です。グンマ専属のパティシエとかマジック邸にいるんでしょう。グンマが従弟で「お友達」のキンちゃんに「今日おやつ何にする?」と聞けば、クッキーかドーナツかではなく、「屋敷のどのパティシエないし和菓子職人にに頼むか」という話になるんでしょうか。

そんな漫画的な生活は果たして楽しいのだろうかという突っ込みを入れてしまうので、書いては消しています。グンマの漫画的生活を間近で見ているキンちゃんは、父と高松からの教育上「グンマには何があっても逆らってはいけないし、自分の生涯仕える相手」と仕込まれていそうです。父とマジックの関係のコピーです。

南国でもPAPUWAでも、仮にパラレルでもグンマの機嫌を取って稼いでいる人が少なからずいます。高松はその一人です。大きな意味では、PAPUWAのキンタローもそうでしょう。小柄でマイペースなグンマに、有能な主治医と働き者の親族ってありそうな事なんですが、「グンマは仕事」と割り切っていそうな高松が何とも。(キンちゃんは高松程ずるい男ではないと思う)

高松の全てはルーザー様にある事を思うと、高松のルーザー様(とキンちゃん)以外に向ける誠意や笑顔って、疑っていいと思います。疑うと言うのは大げさですが、こういう人がルーザー様(とキンちゃん)以外に「貴方への思いは本物です」と言い出した時は、眉唾かもしれません。グンマの特異な地位と権力を思うと、高松みたいな男と戦ってこそグンマは大人になると思います。

(劇中の高松もいっそそれくらい悪い男なら、こっちも惚れないのにと思う。高松はどんなにグンマと仲がこじれてても、心に最愛の父子がいても、南国&PAPUWAにおいてグンマ思いだったと思う。でもグンマを「青の一族」からも、実父からも切り離して初めて成立する愛なので、眉唾は眉唾なんだけど。)

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