■ルーザー様を呼び捨てに出来ない事から、以下の内容はお察し下さい。「ルーザー様」でなかったら、パパ、お父様とか呼びそうです。南国後周囲に誰もいなかったら、高松とキンちゃんは「お父様は〜」「父さんが〜」と言い合っていそうです。
■人を殺す事にためらいがないと言われたルーザー様ですが、南国終盤で高松を峰打ちしています。高松の負傷はルーザー様的には、漫画で見られるお腹にドスッと拳を入れて気絶させるアレだったのでは。この時のルーザー様はキンちゃんに自分を殺させようとしていますから、高松が父子の間に割って入ると思うが故の選択でしょう。(ルーザー様は本当に高松を理解しているなと思う瞬間。あの時、もう大人の高松がルーザー様にはえらく小さく見えたんだと思います。母を傷つけられれば相手が父親でも息子は怒るだろうと言う推測も出来ます。)
ハレの飼っていた小鳥の時だって、「マジックの代わりに自分がハレを昼寝させよう」としただけで、ルーザー様は小鳥が眼中になかったんだろうなと思います。ルーザー様がためらわないのは「マジックの命令、つまりは自分の家族(高松も入っているといいなあ)を守る事」であって「殺す事」じゃないと思います。「兄さんは僕達家族のために働いている」と、ルーザー様は最後まで信じていたのでしょう。
■高松はルーザー様の訃報を信じていなかったんじゃないだろうかと思います。遺体が帰って来なくとも、ルーザー様はマジックの発表で戦死扱いされただけなのではないかと。マジックの後ろ暗い部分を知り過ぎているから、彼はこの際死んだ事にされたのかもしれません。
(※狭義では戦死とは国家に属する職業軍人が戦闘で死亡した場合を指すので、ガンマ団が軍事請負会社だとすれば戦死ではない。ルーザー様は一般市民でもないので、広義の戦死でもない。サビが言う戦死とは、ガンマ団の団員として職務中に死亡した事を指している。
小さいハーレムが「軍人になりたい」と言っているが、民間会社であるガンマ団にいる以上正式には「軍人」にあらず。戦争とは辞書的には国家権力同士の行為なので、大人のハレは特異な仕事をしているだけで「民間人」。)
■「ルーザー様の葬式」と言いつつ、遺体を伴わない葬式だったはずです。秘石は「戦場で朽ち果てるには惜しい」とか言ってますが、普通、戦死者の遺体は最大限の敬意を持って扱われます。WW2末期の日本軍の様な外地での圧倒的な負け戦ならまだしも。「負傷者の治療、看護」「戦死者の遺体について埋葬までの責任」をマジックが果たしていないだけで、本当は近年の国家軍人なら「朽ち果てる」ケースの方が稀でしょう。まして総帥の弟であるルーザー様の遺体が見つからないなんて、彼は「本当は死んでいなかった」と推測出来ます。
(※柴田亜美の想像する「戦争行為」は、古今東西、似た様なものすら見当たらない。これ漫画でしょうが、ファンタジーなんだよという事もあるが、ここまで救いのない話をよく思いつくと思う。ケエルもか。)
■高松は「ルーザー様はもう帰ってこない」と思いつつ、「亡くなったから帰ってこないんじゃなくて、彼は自分の意志でガンマ団に帰ってこない」と思っていたのではと思います。高松は万が一マジックやハレ、サビの前にルーザー様が気が変わってひょっこり帰ってくる日まで、ガンマ団で働きながら待っていたつもりだったのかもしれません。
ジャンにそっくりなルーザー様の子供(※シンタロー)でも、ルーザー様と2人なら愛せたかもしれませんが、「自分の意志で帰ってこない」人の子供を1人で守り続ける自信はなかったでしょう。高松はルーザーがジャンを殺した事を知っていたと思います。マジックから「ジャンが赤の秘石の番人である」事も、「総帥の命令でジャンを殺した」事も口止めされていたルーザー様が、激戦地で生き残ったとしても、到底ガンマ団に帰ってこれる心理状態でなかった事も、高松は知っていたと思います。
(※ちなみにサビは恋人が赤の秘石の番人であった事も知らない。知っていたら秘石がらみの案件にもっと熱心に取り組むと思うが、サビなので、ジャンの身の上を知っていても「恋人のために頑張る」気ゼロだろうなだとも思う。)
■高松の知らない事もありまして。ルーザー様はマジックの覇業に伴う汚い事の数々を、自分の代で封じようと思っていたんじゃないかなと思います。「悪いのは自分」「自分さえ罪をあがなえばいい」となれば、残した兄弟と子供達は清潔でいられるかもしれません。マジックはミツヤがいた頃からの悪事を喜んで亡くなったルーザー様のせいにするでしょうから、いなくなりさえすれば意外と「罪の集約」は簡単です。ルーザー様がいなくなれば、今度は高松がシンタローから疎まれる循環が始まってしまいますが。
高松は猛反対するでしょうが、ルーザー様は自分の死によって、兄弟、キンちゃん、そして高松の未来を明るく出来ると考えていたと思います。なのでキンちゃんに自分を殺させ、「罪を裁いた」男として生きて欲しかったのではないでしょうか。そんなルーザー様の自己犠牲、喜ぶのはマジックくらいですけれど。
高松は「ルーザー様」ご本人を慕っていたと思いますが、ルーザー様は御自分を「罪」そのものだと思っていたのかなと思います。
「頭のおかしいミツヤと、同じく気がどうかしているルーザーがみんな悪いのであって、総帥である自分はいつも困らされてばかり」とマジックは思っていると思います。ミツヤ・ルーザーが殺した規模が大き過ぎて、ルーザー様の死後は日常的な殺戮くらいで済んだでしょう(・・・・・。) |
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