■高松とルーザー様について。2人とも「結論を急ぐ」タイプの様な気がします。本当に数学が出来る人は、長い数式でも見ただけで解答すると言われますが、2人ともそうなのでしょう。生まれついた特徴なので人間関係にまで影響が及んでしまうのでは。
ルーザー様は「高松が（何を考えていようとも）僕の側にいればいい」と思い、高松は「ルーザー様の側にいられるのなら私は下僕にでも道具にでもなる」と決めこみ、表面的には「一緒にいる」のに、「思いを伝える」「気持ちを確かめ合う」過程がすっ飛ばされているので、いまいちぎこちないかもしれません。でも、天然の「コンピューター」として生まれたルーザー様と高松に、「過程」って逆に難しそうです。（それでもお互いの気持ちが離れなかったのは立派な相思相愛だと思う）
だからキンちゃんが生まれたのかもしれません。兄の相伴としての実子ではなく、生けるスパコンとして生まれたルーザー様が人間として本能的に求めた、高松との接点としての子供。恐らく将来は父母に負けないくらいの優秀な科学者になるだろうキンタロー坊ちゃんですが、生まれた時は普通の赤ちゃんです。どんなハウツー本も軌道計算も通じない夜泣きするキンちゃんに出会うまで、ルーザー様には生きていて欲しかったです。
劇中でも高松はキンちゃんが相手ならゆっくり過程を楽しんでいる気がします。「死んでもこの子を守る」という思いに、高松らしくもなく「この子と一緒に生きてみたい」という明るい思いが混じって来た様に見えます。
（高松の趣味は園芸なので「過程」の重要性は知っていたと思うけど、対人関係には長らく応用しなかったらしい。ルーザー様の趣味は「ダーツ」だそうだけど、「なんだ矢場か」と思った自分は荷風狂いだと思う。高松に矢を拾わせて興じるルーザー様はいいと思う。）
■南国＆PAPUWAについて奇異に感じるのは、「作家とは言え女性が石をテーマにしてああなるのか」という事です。ファンタジー・ジュエル・女性作家と来て、石に恋愛のお守りのパワーやヒーリングの力を設定していないのは珍しい事のように感じます。男性が科学に万能感や支配欲を覚えるが如く、女性は宝石に夢を見る者だと思いますが、南国＆PAPUWAの場合、石は厄災の発端の様に描かれています（赤の秘石は穏やかな性格らしいが）。
コタローやサービスも高価なものが好きというだけで、品質を愛するというタイプでない様な気がします。原作者は和合的な性格でないのかもしれないと思います。キンちゃんに貴金属を渡すとせっせと工業用に活用しそう。ダイヤモンドを見せてもカッターの刃にしそうな子。
■セーラームーンを読み漁った記憶からじゃないですが、石は好きです。南国＆PAPUWAを忘れなかったのは秘石のせいもあるかもしれません。高松がルーザー様からもらったタイピンがどんな品物なのかは不明ですが、妄想すると。
■タイピンとは労働者のものなので（タイが乱れる様なアクションを高貴な人は取らない）、ルーザー様がマジックやサビに贈る事はないとすれば、高松は随分卑下してタイピンを受け取ったと思う。ルーザー様なんてタイどころかハイネックでいつも過ごしているのに。
自分は田舎者だから、高貴なルーザー様のお仕事を手伝う上で、身だしなみを注意されたと高松は思ったかもしれない。妄想だけど、高松はルーザー様から靴やジャケット、ネクタイ、ワイシャツ等を買ってもらったとしても、「部下の私がみっともなくてルーザー様が困っている」と思いそう。ルーザー様からの純粋な「プレゼント」だったとしても曲解しそうな高松。（森薫の「乙嫁語り」みたいだ）
■仮に頂いたタイピンに青い石がついていて、青の一族というくらいだからなんだろうと高松が解釈したとして。南国後の隠居前、キンちゃんに「ルーザー様にお返し」する意味でピンを差し上げる高松。キンちゃんとしても大事にするよりない品物。
PAPUWA後、キンちゃんがコタローに勉強を教えながらふとタイピンに触るとコタ曰く「アクアマリンだね」。「三月の誕生石」とキンちゃんに言う、宝石好きのコタ。高松はタイピンを上司からの同情で贈られた品の様に考えていたけれど、「エンゲージリングにも等しい、父からの高松への誕生日の贈り物」だった事が分かる。コタの学習を放置して医務室に駆け込むキンちゃん。
こんな妄想が本当だったら、鼻血じゃすみません。普段冷たい人の熱さと言いますが、１０代高松が着ているだろう白衣が真っ白なウェディングドレスに見えてきました。（女性を拒んでいる青の一族が花嫁衣装なんて眼中にあるのかどうか謎だけど、ルーザー様の興味はむしろ式後の晩にありそう。） |
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