■南国&PAPUWAの嬰児交換について。マジックが高松を罰する所ですが(サビは逆切れして暴れてジャンが騒ぎ立てるので触れない方向で)、お咎めなしっぽいのは、マジックがシンタローしか見ていないのと、過去高松を深く傷つけた自覚故だと思っています。自分がグンマを育てたら、自分がグンマを持て余して殺してしまうか、両目の秘石眼のグンマに殺されるかだったろう推測もあったでしょう。
高松はグンマをマジックに返し落着を試みたと思いますが、マジックはグンマを受け取ったでしょうか。高松が思う程一族は仲良しではない気がします。嬰児交換の暴露で得られたものは、生まれたけど一人ぼっちだったキンちゃんに愛してくれるお母さんが出来た事くらいで、グンマは腹立たしいだけだったでしょう。(キンちゃんが一瞬で高松に懐いたのも不思議と言えば不思議だけど、高松は24年間「キンちゃん」に会いたかったのだと思えば理解出来る。)
■南国&PAPUWAを読みだしてから、急に谷崎が読みたくなったのは偶然じゃなかった気がします。芸術的なまでに性格の悪い美形を出させたら、南国&PAPUWAの原作者と谷崎には似る所があると思います。もっとも谷崎は小説家なので自分が生み出した悪女・悪人達を最後まで書き、小説も日本文学を代表する傑作が多いですが、前者は放置気味です。横暴なキャラ達を原作者が「横暴」と認めて発展させれば、また違う味になったかもしれません。
(■南国&PAPUWAで根性悪と言われているのは高松だし、言われて当然の事もしてきたけど、ちゃんとしっぺ返しされている。他愛なく天才だとか自称するくらいで、「私は美しいから敬え」とかはないキャラだと思う。高松が周囲に認めてほしいのは己と言うより愛するキン・グンと可愛い発明達なので、その辺は高松も悪人になり切れていないと思う。
高松は自分がえげつない方の男である自覚があると思う。シングルとしてグンマを育てた時は、初めての育児だし、グンマは愛するルーザー様の子息ではなく、憎いマジックの子だし、仕事は止められないし、グンマの秘石眼で殺されない工夫とかに必死で、「こんな私が子育てなんて」とは思わなかっただろう。
■もしルーザー様が生きていて、高松と一緒にキンちゃんを育てたなら。寂しい妄想に過ぎないけど、高松は「自分などがこの高貴な父子に関わってはいけない」と思っただろうと思う。なのでルーザー様が好むだろう控えめな男を意識し、家事使用人・家庭教師・家僕として2人に振る舞うと思う。
キンちゃんが自分に敬語など(「お母様おはようございます。」とか)使おうものなら、「貴方の身分にふさわしくない話し方ですね。お父様の見識が疑われますよ。」と教育しそう。ルーザー様に対しても、いやしい自分などが側にいては、ルーザー様の名誉に関わるとか本気で思っていそう。
■ルーザー×高松でもあるので、殿上人と側室みたいな関係になる。そのうちルーザー様が、「お前は何故そんなに卑屈なんだ、僕がお前を粗末にしているみたいで不愉快だ。キンタローもそう思っている。もっと胸を張れ。」とか怒り出しそう。身分って、上から眺める分には気にならないけど、下から見上げると首が痛いくらい辛いもんだという話。
いつ高松が自分の意識の中で自分をルーザー様とキンちゃんと同じ水準まで上げるのか謎だけど、普段物わかりが良くて我慢強いキンちゃんが「伯父様の式典に行くならお母様も一緒じゃないと嫌だ」とか泣いちゃったら、高松は側室だろうが何だろうか、キンちゃんのために晴れ着で表舞台に出てきそう。※英国執事スタイル?。全部妄想です。)
■サービスと谷崎作品について語ろうと思っていました。谷崎の「卍」のヒロイン光子は、親に内緒で散々他人をもてあそび、浪費し、重ねた悪事を最後下女から親に告発されて窮地に陥ります。(記憶が曖昧ですがそんな話でした。)
下女にすれば。 ■御嬢様のいじめ、御嬢様の暇潰し、 ■御嬢様のレズビアンごっこ、御嬢様の不倫、 ■御嬢様の偽装妊娠、御嬢様の嫁入り前の火遊び等 に散々付き合わされて、片棒を担がされて、嫌だと言えばもっといじめられるだろうし、旦那様や奥様にばれれば、どうしてもっと早く知らせなかったんだと怒られるしで、限界も限界だったでしょう。
そんな下女にヒロイン光子は、「妹の様に今までしてやっていたのに恩知らずだ」と言います。もし妹がいたら多分同じ様に自分のわがままに巻き込んだでしょうからあながち嘘でもないのが怖いです。
サービスも高松が苦痛を訴えたら、多分「恩知らず」と言うでしょう。高松の才能を認めたのはルーザー様、高松に仕事を与えたのはマジック、高松と一緒に働いたのはハーレムでしょうから、サービスは自意識過剰です。
南国&PAPUWAの原作者は極悪人を描けるのだから、極悪人が極悪人である故に破滅していく様子も描くべきでした。谷崎ならそうします。 |
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