■南国&PAPUWAの原作者について考えていました。2つの秘石、2つの団体(ガンマ団と心戦組)、2人の番人(ジャンとアス)、2人の兄弟(シンタローとコタ)を題材にして混迷するのだから、5つの星・5人の子供・5体の戦士に挑んでどうなるのかは、連載前から明らかだったかもしれません。南国とPAPUWAがキャラに魅力はあっても、もう「何の話だったけ」状態だという事が分かるのは、紅・光・エドガーが旅立った後でした。
当てずっぽうで済みませんが、原作者は「欲望を形にする力」が常人を凌いでいるのだと思います。物語を作る力とは別なんだろうなと、盛られ過ぎて設定倒れしているキンちゃんを見ていると思います。(高松は設定倒れというより科学とか生物とか原作者に言葉だけ適当に盛られた感じがする。)
■誰もがひれ伏す美貌と若さと財産を持ち、嬉々として隷従する男を従える47歳(サビ) ■美しく若く才能と強さに恵まれ、世界を揺るがす大きな仕事に携わっている、女性に無関心な男達の集団(※ガンマ団&青の一族の事だけど、突っ込み所が多過ぎだと思う。) ■本人の努力もあろうかと思うけど、育ての親の溺愛&七光りもあって世界規模の団体のトップになり、献身的な従兄弟と楽しい仲間を引き連れる男(シンタロー) ■永遠の命と若さを保ち、自然豊かな孤島で子供と動物とその日暮らし。大金持ちで美形で権力者の年上(ハレ)に何故か好かれ、特に接点がないお侍にも好かれ、戦闘能力はあれど戦わなくていいらしい(リキッド)
等、欲望の具現化なんだろうなと思います。コタも自覚ある美少年ですがコタなりの苦労がありますし、能力は高いのに振り回され体質のルーザー様&キンタロー様&高松、報われないアラシヤマなど、設定はチートなのに無駄な苦労を重ねているキャラの方が好きです。心戦組も、彼等なりの方向性と積み重ねが描かれているから好きです。
■原作者の持ち味を生かすなら、誰も思いつかないくらい欲望を忠実に現したキャラ達を、テレビアニメの南国くらい律して動かすお話をどなたか考えてくれるとよかったのかもしれません。キャラ原案と原作者が別個というのもよくあると思います。
(でも誰も及ばないくらい欲望を叩きこんだキャラをいざ動かした場合、彼等はこっちが求める様な言動をとるのかという疑問がある。テレビアニメの面白い刺客のお兄さん達には、「マジックの命令」という至上命令があった。トウキョウ達は命令に対して、自分達の技能を駆使していたわけで、外見はいっちゃっていても中身は「意外と話の分かる人」として動かされていた気がするんだ。アニメはすごかった。)
■荷風の随筆に「小説の書き方」みたいな文章があって読んでみました。「自分の見聞きしたものを材料にして書く」「他の人の書いた作品に刺激されて書くのはよろしくない」「教養豊かに書く」などを主張していました。荷風の書くものは荷風しか書けないなと思うものが多いので、成程と思いました。
荷風の書いた、自身の母方の実家の下谷の話も読んでみましたが、鴎外っぽくて鴎外じゃない感じが歯がゆかったです。荷風の心の師が鴎外なので、鴎外をリスペクトしながら荷風らしい文章を書いたと思うんですが、いつもの散歩しながら考え事をしている荷風の方が好きでした。
「人様の書いたものを参考にして書いてはならない」って耳に痛いです。荷風はゾラやモーパッサンを信奉していたと思いますが、いざ荷風の書いたものを読むと、やっぱり荷風らしい斜に構えた部分が濃いです。「書けるだけ書いてみる事」とも言っていたので、自分も二次創作ですが書いてみようと思います。
荷風にも途絶した作品がやはりある様で、「今時の女性を取材して作品にしようと思って、彼女達に感情移入できないから止めた」という文章があります。谷崎なら感情移入できなくとも面白そうな題材なら貪欲に取り込む時があるなとも思いました。 |
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