madeingermany

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...... 2014年03月05日 の日記 ......
■ 不自然な暴力   [ NO. 2014030501-1 ]
■谷崎の細雪を読んでいます。重厚な作りで、何回読んでもいいなと思います。後期の作品なので若い頃の谷崎の味もしますし、その後の鍵や瘋癲老人日記につながる匂いもします。谷崎は変態ですが(ごめんなさい)、日本を代表する感性を持った変態であり、作家として一級の人だと思います。

変態と言うと大抵勤勉で能動的な人で、受け身で仕事嫌いな変態はあんまりいない気がします。(※マニア、オタク的な素質を持つ勤労者をイメージしています。親の仕事をディスって糊口をしのごうとしたり、他人の仕事に便乗し目立つだけでその場を乗り切ろうとする場合は、変態と呼ぶにも抵抗があります。)

■谷崎は病気や怪我を非常に恐れていた人だと聞きます。なので医者を愛する事甚だしいです。家族や女中さんは谷崎のわがままを満たすのに大変でしょうが、医師の言う事は素直に聞く人だった様です。(医者というか知識人、知的好奇心の強い人をディスる事はつまらない事だと思う。)



■三国志で好きな人物は(一番は孔明だけど好き過ぎてランク外)諸葛瑾(ショカツ・キン)お兄様
■愛読書は漱石、金之助さん
■南国&PAPUWA二次創作はキン高、ルザ高とキンタロー坊ちゃん

どっちを向いても、自分が好きな世界にはキンちゃんがいます。週末のグッドアフタヌーンは様子見に徹しようと思います。一周回って読もうかなと思いましたが、二周三周と思い悩んでいたら腹痛を起こしました。この件は、南国&PAPUWA周辺にまつわる、数多い後ろ暗い話の中にしまってしまいたいです。



■漱石のこころについてです。人は不自然な暴力で死ぬと先生が語っていた気がします。手元に小説がないので記憶だけですが、ところどころ誤っていましたらすみません。

こころで怖いのは、お嬢さん(静)に何も知らされないうちに、Kが喉を掻っ切って死に、夫であった先生もK恋しさに自殺し、新しい夫(私)が用意されている事です。私に鎌倉でナンパされた先生が、私に狂おしいまでの過去の(Kへの)恋を打ち明け、自分の妻を私に嬉々として与える展開が怖いです。冒頭から先生への愛を語る私もすごいですが。


■先生が初めて直面した死は学生時代の両親の死でした。父が亡くなり、続いて母が同じ病気で亡くなり、先生は叔父を頼る事になります。先生は叔父に騙されたと思い、金だけ持って出て行き故郷と縁を切るのですが、この辺りでは先生は両親を失って悲しいけれど、叔父の振る舞いに対する怒りの方が大きいです。先生が言う、人が死んでしまう程の不自然な暴力は見受けられません。

私も父の死に直面します。私は先生の自殺をほのめかす手紙に動揺し、親戚が集まっている臨終の場を後にし、東京へ行ってしまいます。私も随分ですが、先生も私も親の死については悲しみはすれど、受け入れている様です。なら何が不自然な暴力なのか。


■先生が叔父を疑い出したのは噂や金遣いの荒さからですが、決定的だったのは、娘と先生を結婚させようとした事だったと思います。従妹との結婚は先生の家の事情にすればあり得る事なのですが、先生は従妹を拒みます。

学生だからまだ結婚は早いと先生は言いますが、異性に全くと言っていいほど先生は興味を持ちません。妻になった静に対しても恐らく「夫」ではなかったと思われます。叔父に金銭的に疑いを持つだけなら、先生はあそこまで故郷に対して冷淡にはならなかったでしょう。先生にとって受け入れられないのは「女性」全般なのではないかと思います。先生が嫌った叔父にはお妾さんがいました。


■先生は静にKを奪われたと思ったでしょう。先生の傲慢さと鈍感さが自身の悲劇や静の悲しみを生んだのですが、先生にすれば「私がいるのにお嬢さんなんかに夢中になって憎らしいK」だと感じたのではと思います。当時のお嬢さんの振る舞いや態度については淡々と語る先生が、Kを語るとなればKの唇や眉、目、指、話し方についてキラキラと語り出すのが怖いです。

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