madeingermany

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...... 2014年04月02日 の日記 ......
■ 人妻   [ NO. 2014040201-1 ]
■ミツヤがいた頃の若いマジックは、「自分が父親になる頃」の事を全く考えていなかったんだなと思います。幼いマジックやルーザー様の世話をしたのは、恐らく青の一族の末席の男達だったのでしょう。総帥に家族が飯を食わせてもらう代わりに、いつ凶暴化するかもしれない幼児の面倒を見ざるを得ない男達がいたのでは。

そんな男達を殺して回れば、自分が大人になった時どれだけ困るのかマジックは想像もしなかったのかも。年齢的にそうなのかもしれませんが、ミツヤがそんなマジックの背中を押していたのは、「自分がいるからいい」という気持ちだったのかもしれません。ミツヤもマジックも間違っているとは言いませんが、禍根を残したなと思います。

■キンちゃんを早くに設けたルーザー様は、おぼろげながら「禍根」に気が付いていたと思います。命令するだけのマジックには禍根が見えなくとも、現場にいるルーザー様には寂しさと孤独と苛立ちが鬱積していそうです。なぜ頑張っているのに自分はイライラするのか、分からなくて苦しいルーザー様がかわいそうです。

高松はルーザー様に初めて出来た「味方」だったのかなと思います。高松の様な学生を部下代わりに集めて戦力にするのではなく、キンちゃんを設ける方に気持ちが傾いたルーザー様の心境の変化を本にしたいです。・・・キンちゃんが生まれた後なら、高松が家でルーザー様に手を上げられて、相手が父でも向かってくるキンタロー坊ちゃまの姿が浮かぶんですが、前哨はよく分かりません。「出生」は青の一族の男達の「単なる義務」でもあるので。

(※ルーザー様のお役に立とうとして立派な暗殺者になろうとする高松と、「禍根」を知っているから高松の「努力」に嫌な顔をするルーザー様が思い浮かぶ。高松に「努力」してもらって兄さんが総帥しているガンマ団が増強されるのは結構だけど、自分は嫌なんだと。生まれてくるキンちゃんには真っ当に生きて欲しいし。そんなこんなで悩んでいるルーザー様をさらに突き落とすのは、「赤の秘石の番人といちゃつく末弟」だろう。)



■坊ちゃんや猫を読んでいて感じるのは、底なしの寂しさです。漱石が学問の道から遠ざかってでも、作家になる決意をした時期の作品なので、漱石の言いたいことが詰まっています。いらだちと孤独と寂しさで一杯です。そんな漱石作品は、ある方法で寂しさから抜け出そうとします。結婚や子供の誕生では満たされない漱石ですし、実の家族・義理の家族とも不仲です。兄弟とも仲は良くなかった人です。

漱石は他人の妻で孤独を解消しようとしました。

異性に癒しを求めるのは普通の事かもしれませんが、遊郭に行く人じゃないし、未婚の女性に既婚男性が近づける時代でもありません。狙うは友人・知人の妻です。意図的なスケベ心や、荷風や谷崎の様な「女好き」ならやむを得ないかもしれませんが、真顔で自分の小説の男達に間男させ続けたのが金之助さんです。素で怖い。

以下は金之助さんの書いた「間男」達です。順不同です。寂しいから友人を作る、友人は既婚男性なのでどんなに欲しようとも男の自分とは結ばれない。大好きな彼と結ばれないから、大好きな彼の奥さんを寝取るという理屈。(※わざとではない)

■宗助・・・学生結婚していた友人を訪ねたついでに、友人の妻に近寄る。

■代助・・・学生時代の親友が妹を残して死んでしまったので、もう一人の別の友人と「妹」を無理に結婚させる。代助が愛していたのは「妹」の兄であり、兄が死んだ時点で妹はどうでもよくなっていたが、「妹」を自分のコントロール下に置かないと気が済まなかった。数年後に人妻になっていた「妹」に間男する。

■二郎・・・兄嫁とは兄と結婚する前からの知り合い。兄夫婦と一つ屋根の下に住み、兄より兄嫁とイチャつく毎日。

■私・・・恩師でも何でもない男の家に入りびたり。実の父親が危篤状態なのに、放っておいて人妻が待つ東京へ突っ走る。

■先生・・・両親に死なれ、親戚とは喧嘩別れして寂しい先生。先生は大好きな「K」と恋人同士の様に暮らすが、「K」が「結婚したい女性がいる」とか言い出したので、怒って自分がその女性に求婚する。

■迷亭・・・他人の家に勝手に入ってきて、蕎麦を食べたり風呂に入ったり人妻と話し込んだり色々。(迷亭=苦沙味先生説があるので、迷亭と細君の「距離」は推してしかるべしである、)

■津田・・・美人で若い妻がいるが、結婚する前に知り合っていた別の女性をまだ愛している。湯治にかこつけて、もう人妻になっていた彼女と逢引を図る。

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