■康成の雪国を読み終えました。火事の場面がクライマックスだとすれば、島村が温泉場に対し感じていた夢みたいなものが消えていく場面なのかなと思います。葉子の被災で駒子が動揺しているシーンも、火災を他人事の様に見ている島村に、いつか駒子は怒りを感じるでしょうし、その怒りは「つれない」とかの甘いものではなくなっているでしょう。何故島村が温泉場にたまにしか来ないかと言うと、夢うつつを味わいたいからであって駒子が「好き」な訳じゃないと思います。
駒子に許嫁がいたとか、駒子を何年も世話している男がいるとかは島村の打撃にはならなそうです。駒子が生々しく打ち解けてくる方が島村にはこたえそうです。自分を「いい女」だと言った島村に、駒子は言葉通り応えている訳ですが、島村の言う「いい女」って夢見せてくれる女性の事なので、駒子と島村はもう関係を終わらせざるを得ないのかもしれません。
・・・・高松も夢見がちなでいい加減な人ですが、やたら発達した理系脳と、ルーザー様とキンちゃんに対して発動する女性らしさでバランスを保っているのかも。「職業人」ないし「ママ」な時は夢とかいい加減とか言ってられませんでしょうし。（母たる責任感でキンちゃんを指導する高松って最強っぽい。考えすぎて昔一度キンちゃんを手放してしまっただけに。）
■以下は高グン雑感です。カップリング話というより、高松はアホだなあという話かもしれません。
■理系ナイスミドル×可愛い男の子という、絵に描いた様な関係なのに崩壊するのは、高松が根本的に右だから。ルザ高・キン高の場合、高松がグズグズしたら彼等はキレてくれるが、高グンの場合高松のペースで展開するのなら足踏みしていそう。
■高松が最愛の人に死なれて自暴自棄になっていた時にグンマを面倒みだしたと思うと、高松のヤケになりがちな性格が高グンに現れそう。高松はルーザー様やキンちゃんには、敬意ゆえに多少でも繕う部分があるけど、グンマには「どうにでもなる・どうにでもなれ」と思う部分がありそう。
■自暴自棄になりがちな高松が、「最愛の人の遺児」を自分がたった一人で面倒みるなんていう事選べるはずもない。キンタロー様に万が一の事があれば後悔してもし切れないから。伯父で権力者・資産家のマジックに「キンタロー」を無理やり嫡子として預ける高松。「残った」グンマは、「自分なんかと一緒でとても可哀そうだけど」、高松が世話する事に。
グンマは甲斐甲斐しく自分の面倒を見る高松に好意を抱かないでもないけど、高松の自尊感情の低さを思うと、高松はグンマを「自分なんかと一緒で可哀そうな子だ」と思っていそう。グンマに対する高松の誠意は「手放して実の父親にお返しする」事で、決して「自ら愛する」事ではない。勝手に世話され、勝手に手放されるグンマには転変激しすぎる話だけど、それが高松という男だと思う。
（グンマが）「一緒にいて楽しい」「一緒にいたい」「貴方が好き」と何遍高松に言っても耳を貸してもらえない気がする。医者なのに暗殺者集団にいる事に対し、平静な目で自分を顧みた時の高松の自己矛盾への鬱積なら分からないでもない。今更香川にも帰る気はないだろうし、愛した人との思い出と、愛した人の子供がいるガンマ団を離れる気もなさそう。
高松は人を愛する事は出来ても、愛される事が下手そう。グンマは愛される事は上手くとも、愛する事が上手くなさそう。（あれだけグンマが家族家族言っているのに特段何も進展がなさそうなのは、グンマの性格もあるのかなと思った。自分から愛を確認し合う事は、高松にもグンマには向かないかなと。） |
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