ルザ高雑感です。 ■PAPUWAでシンタローやアスを目の敵にするキンちゃんが分からなかったです。自分、そして父、高松を追い込んで苦しめたのはジャン、サビ、マジックです。ジャンとは「開発課」仲間らしいし、サビは叔父、マジックも伯父。高松がキンちゃんの側についていながら、何という事だと思いました。方々破綻している漫画だとは思っていましたが、ニワトリ並みの忘却ぶりだと怒る気にもなりませんでした。
■でもルザ高的には。「ルーザー様と高松が願うのはキンちゃんの幸せである」「ルーザー様は父である自分を殺させる事でキンちゃんを青の一族の呪縛から解放してあげたかった」「高松もルーザー様を失った孤独で狂った時期があったが、キンちゃんがいれば気持ちを立て直すはず」「キンちゃんも高松もジャン、サビ、マジックへの恨みにとらわれている暇はない」「キンちゃんが周囲から迫害でもされているならいざ知らず、幸いとけこめそうなのだから、高松が怒りを再熱させる事は無い」
と、高松が自分の苦しみを、未来あるキンちゃんになすりつける事を避けたのだろうと思いました。ルーザー様も「恨むならこんな道にお前達を引きずり込んだ僕を恨め」とキンちゃんと高松に南国で言っていた気がします。
漱石の義母が夫の愛人を攻撃する際、漱石に「あれは敵だよ」と言い聞かしていた事を思い出しました。漱石の不幸の出立点になった事件であり、もし高松がキンちゃんを心から愛しているのなら、キンちゃんに敵を与えて苦しめる事は選ばないだろうと思いました。(シンタロー、アスでは喧嘩にならない。ちなみに高松のこんな母たる覚悟はチャン5で原作者から踏みにじられる。あれ高松じゃないんだ、きっと。グッドアフタも。)
漱石の行人を図書館に返して来ました。
■幼い漱石の目に映る異性は義母、それに義父の愛人だった。不仲だった義父母の争いに加え、義母の義父の愛人への嫉妬・攻撃・恨みを漱石は幼少期に目の当たりにする。漱石の実父母は健在だったけど、漱石を「高齢で懐妊」した事を実母は恥じたという。
義父母は離婚し義母と暮らすも、経済的に母子2人ではやっていけない。義母は別の男性と再婚し、生家で暮らす漱石。実母は漱石の近くにいるけど、漱石の誕生が「恥」だったせいかしばらく「祖母」とされていた。
今も昔も、「愛し合う夫婦の間に子供が生まれる」というのは奇跡です。小宮は「こんな境遇で正義感を養った漱石は偉い」なんて言いますが、漱石の「正義感」を振り回された鏡子さんはしんどいの一言でしょう。行人、明暗を読んでいると、「なんで結婚なんかした」「なんで子供なんか作った」という漱石の幼少期から続く押し込められた呪いの様な物を感じます。
社会的に独身では半人前として扱われる時代でしょうし、生理的に「異性」が必要なのは漱石を見ていると感じます。精神的には「夫」である事をまるで漱石は受け入れていないのに。
■一郎は結婚後のお貞さんに興味がない。自分の妻にも興味が薄れている。直は「自分を妻だと思っていない」と言う。一郎が好きなのは処女時代のお貞さん、ないし直であって、今現在の彼女達ではない。明暗の津田も清子が既婚者である事を忘れて彼女にすがっていて、清子に夫がいる事を思い出せばさらに動揺しそう。
一郎は「直は自分が悪くした」と言う。直と不仲である事、直に手を上げた事を言っているのではない。「直と自分が結婚した」事そのものを指して「悪くなった」と言う。直が「妻らしく」振る舞えば「素直じゃない」と一郎は怒る。「自分を妻だと思っていない」と孤立に悩む直と一郎は永遠に折り合わない。
■直は処女で下女のお貞さんに夢中になり、同性のHさんと二人きりで温泉旅行をして癒されて帰ってくる夫をどう思っているのだろう。多分、直の関心は娘の芳枝に注がれると思うし、漱石作品の事なので、「折り合わない夫婦」なのに子沢山になりそう。
漱石は「異性である事」が既に罪悪の始まりであると思っているのではないか。異性でも清の様な「下女のお婆さん」は別だとしても、こころの先生の手紙の中の静の姿は可愛らしいが、若い先生には脅威だった。 |
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