madeingermany

[PREV] [NEXT]
...... 2014年04月19日 の日記 ......
■ 結婚   [ NO. 2014041901-1 ]
ルザ高雑感です。

■「高松はルーザー様から愛されたわけじゃなかった」というのが端的なルザ高だと思いますが、南国での何かを糊塗する如き高松の態度を思うと、一所懸命グンマをネタに「ルーザー様に深く愛されていた私」を演じている様な気もします。

(でも高松は肝心のグンマに、ルーザー様の事を多く語らないので自己満足の演技だったのか、別に理由があったのかという事になる。「父と暮らすシンタロー(キンタロー)の幸せ」を崩さない程度に高松は振る舞えばよく、ルーザー様の自分への愛どうこうは高松には大きな問題じゃない気がする。)

■ルーザー様にとって愛するとはどういう事なのか考えると、ライオンパパとマジックとの関係に思い及びます。コタは「幽閉されていた」と言われますが、マジック4兄弟も閉鎖的な環境で生きざるを得なかったあたり、コタとそんなに変わらないでしょう。

いつも遠くにいるライオンパパとは触れ合えないし、怒りっぽく偉そうなマジックと「兄弟」の様にルーザー様が慣れ親しんだとも思い難いです。勉強に励み、父や兄の様な有用の暗殺者になる事がルーザー様の「家族愛」だったのでは。ハレ・サビが生まれても変わらないと言うか、父兄譲りの命令的な態度は崩さなそう。ルーザー様が周囲をどう思っていたかというより、そういう「冷たい」振る舞いしか彼は出来なそう。


■高松はそういうベタベタしないルーザー様のクールさに惹かれたとしても、気持ちが憧れ以上になってしまえば、クールさとかはむしろ残念なものに感じる訳で。でも「優しく話しかけ、いつも一緒にいる」と高松が喜ぶとは、いまいちルーザー様は想像するもの難しい。

そういう右往左往の結果、キンちゃんの誕生に至ったと思うのですがどうでしょう。「高松が僕には必要なんだ」というルーザー様の思いの発露というか。そんなに大事な高松と息子の存在をルーザー様が噛みしめても、2人を残しての自死を選んだのは、ライオンパパとマジックとの端的な日々のせいだったのでは。ルーザー様の振る舞いを覆す程、高松と息子の影響力はなかったのだという意味で、「愛されていなかった」と言えそうです。

(ルーザー様が生き延びて、高松と息子の側に帰って来てくれたなら。人生観が覆るような家庭が待っていたのに。ちなみに英国軍人の戦争からの生還率は、昔の日本と比べものにならないくらい高い。原作者がいかに資料を見ないで漫画描いているかよく分かる。)




■なんで漱石は悩み通して終わりなのかと思いました。三四郎〜こころの6連作で辿り着いたのは、「やむを得ず結婚した妻を処女のままにしておいて、妻を妻より深く理解し合った男の子と結婚させ、自分は先に亡くなった同性の恋人の元へ行くために自死」という結論でした。親戚も友人も仕事仲間もいないに等しい先生だから出来た選択ですが、三四郎の果てがこうなるのかと思います。

男版オースティンかと思うくらい結婚にこだわる漱石ですが、高慢と偏見でエリザベスに再プロポーズしたダーシーの役を、美禰子や三千代にしろと言っても無理です。「貴方とは結婚しないわ」「私、一生結婚なんかしない」と啖呵を切った幼げなヒロインと、時間をかけて神のご意志に沿う様に導くヒーローという図がオースティンの小説の魅力ですが、漱石の書く男達は「女は慰撫しやすいものだ」という感じの嫌な男ばかりです。


■オースティンの小説には、宗教的な場面がそういえばありません。牧師はよく出て来るけど、「金にうるさい」「結婚願望が強い」等、宗教とは随分かけ離れています。何故男女が結婚し、一人の異性を愛し合って子供をなすかといえば、それが神の意志だから。結婚が何故尊いのかと言うと、神に誓うものだから。オースティンが特段信心深かったという事もなく、普通の信仰心があれば、おのずと結婚の意味は見出せると思います。もっとも彼女自身は、大勢いた兄達の援助から未婚を通しましたが。

なのでエリザベスやエマ、キャサリン、アン達には「何故結婚するのか」という疑問が浮かびません。問題は誰といつ結婚するかであって、相手を愛しているのかという自問自答はあれど、結婚そのものへの懐疑はありません。当時の女性なので頼もしい夫がいなければ貧しくなる一方ですし、結婚できなかったばかりに精神的にも経済的にも社会的にも苦しんでいる女性が多かった事でしょう。


■漱石にも「結婚していない女性」として行人の重、彼岸過迄の千代子がいます。重は家が傾いているから嫁に行けず、千代子は愛し合う須永がいても、須永の消極性故に縁談が進みません。

虞美人草の小夜子が、自分は小野に愛されている訳じゃないし、小野の望む様な妻には貧乏な自分がなれない事を理解した上で、「嫁に行かなくてもいい」と言ったのが好きでした。義理と勢いだけで甲野・宗近の藤尾いじめのエサとして小野の妻にされた小夜子の「戦い」はこれからでしょう。

...... トラックバックURL ......
  クリップボードにコピー

...... 返信を書く ......
[コメントを書く]
タイトル:
お名前:
メール:
URL:
文字色:
コメント :
削除用PW:
投稿キー: