谷崎訳の源氏を読んでいます。末摘花まで読みました。若紫が源氏の屋敷に馴染んだ頃の話です。若紫の周囲の女房が彼女に「貴女と源氏は夫婦なんですよ」と説明している場面があったので、若紫の幼さが分かります。
末摘花の時点で源氏は、葵上、六条御息所、夕顔、軒端荻、末摘花、若紫と関係していますが、源氏に接すると不幸になるジンクスでもありそうです。当時は今の様に、夫婦が一緒に住み子供を育てるという社会で無かったので源氏の「恋」は認められるべきものだとしても、葵上や六条御息所が源氏を恨んだり、夕顔が名前も素性も明かさないのも分かる事です。
確か藤壺が源氏の子供を生んだのが23歳、源氏18歳くらいの事です。源氏は12歳頃に元服して葵上を正妻にして以来色好みを続けますが、関係する女性が「お父さんの奥さん(藤壺)、「友達の愛人(夕顔)」、「義母の兄の娘(若紫)」と、身内ばかりです。狭い人間関係なのでそうなるのですが、夕顔の娘の玉鬘まで源氏の「恋」の対象になるのを読めば、人間関係の狭さ云々じゃない気がします。
源氏が夕顔を連れ出して死なせたのが15歳くらいの時、夕顔は頭中将との間に玉鬘をもうけました。源氏が35歳になれば玉鬘は20歳です。12歳前後で結婚する社会なのでそうなりますが、もうついていけません。若紫の親類に何も言わないで、彼女を自分の屋敷に連れ込んで妻にしてしまうし、頭中将に黙って夕顔を死なせた上に、彼等の娘の玉鬘を勝手に養女という名目で自分の物にしようとするし、源氏にバチがあたりますように。
(桐壷更衣の若過ぎる死、臣籍である事、須磨行き、女三宮と柏木の件、紫の上の死が源氏の罰なのだろうけど、軽い気がする。)
以下は妄想です。今思えば、南国はアニメ・漫画とも亜美ちゃんの得意でないものが一杯だなと思いました。
・主役を演じるのは女性声優さん (同性の役者さんの演技に触れ創作意欲を高めた・・・という亜美ちゃんの姿が想像出来ない。女性も子供も好かない亜美ちゃんが、何故子供が主人公の漫画ばかり描くのか分からない。青年や成人男性の「日々」が描けないに等しいからか。)
・豊かな自然 (南国でもPAPUWAでも背景の草花や昆虫、景色が綺麗でアシさんの努力の結晶だと思うが、亜美ちゃん自身は海も山も生き物も好きで無さそう。)
・オリジナルのフィクション世界 (ヒーローとヒロインがいて、世界を救うための旅に出るとかいう妥当な線で漫画を描けばいいのに、男しか好きでないからややこしい。二つの秘石の謎とか、本当に妥当な描写でよかったのに。)
・父と子の対峙 (有名で有力な親がいないと結局何も出来ないのだと、暗にシンタローへ亜美ちゃんの側面が塗りつけられていると思う。シンタロー自身は独立したいのに、マジックの溺愛で若干不自由なんだという解釈で南国・PAPUWAは読めるが、偉い親がいないとダメという部分のある作家なのかもしれない。
それはそれでいいのだけど、人間関係を性愛でしか分かろうとしない亜美ちゃんの部分を、漫画のキャラに塗りたくるのはどうなんだろう。人間が持つ性愛の大きさを否定はしないけど、それだけで構築される人間関係って嫌かも。) |
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