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...... 2014年07月16日 の日記 ......
■ 源氏   [ NO. 2014071601-1 ]
・・・源氏と言えば更級日記ですが。あんな真面目そうな女性が少女の頃、「源氏を全部読みたい」と仏様に祈願する程燃えていたそうなので、当時の人達には後世が思う程、源氏の色好みは指弾すべきもんでもないのかもしれません。むしろ地の文の綺麗さや、文化的豊かさを楽しむものなのかも。

高松とキンちゃんって、光源氏計画かなあと思って読み出しましたが、高松は意外と臆病なのであそこまで出来ません。

(※源氏は若紫を見つけるや否や、「結婚したい」と言い出し、幼女だからそんな希望本気にしない周囲の不意を突き、右も左も分からない若紫を自分の屋敷に放り込んだ。正妻無視で若紫と暮らす生活。

そんな大胆不敵な事、高松には無理。むしろルーザー様の方が、少年高松を自分の意に叶う様に教育した気がする。生まれたキンちゃんが高松大好きになるのは自然かなとも。遠慮がちに、かつ常にキンちゃんを可愛がる高松をルーザー様が見つめてそう。)



■原文は手が出ないので谷崎訳の源氏を読んでいます。。谷崎の配慮で藤壺と源氏のいきさつは書いていないそうです。「姉弟の様に親しかった若い継母と少年」が「世間も父親もあざむく間柄」になった経緯なんて昼ドラですが、何が起きたかほとんど書いていないのが源氏なので、訳そうと訳さまいと同じだったかもしれません。

昔読んだ源氏解説本に、「人間関係が狭すぎる、だからちょっとしたストレスで体調を崩し亡くなっていく」と確かあり、そうかもと思いました。トラブルがあった時、逃げ場も味方も無くなります。愛娘すら恋のライバルになるなんて(六条御息所)。源氏は正妻のお兄さんの愛人を追っかけていますし(夕顔)。



■源氏へのフォローとして、「浮気者だけど貧しい末摘花を経済的に援助したり、六条に恋人達を集合させて彼女達の面倒を見た」事がよく上がります。若紫や夕顔・玉鬘を放置してしまった藤壺の兄や頭中将と比べての事だと思いますが、物語的に頭中将の様な「行方知れずの恋人と彼女との娘」というのならまだ許容できますが、既に源氏の身内の男達の手が付いた女性達に自ら突進し、精神的・経済的に囲うってフォローになるんでしょうか。

訳した谷崎も源氏の色好みには疑問だったそうです。時代が違うだけで谷崎も相当の人でしたが。谷崎が「源氏の意外としんみりした顔が見えていて嫌いじゃない」と言っていた章までは読みたいものです。



■源氏の二番目の正妻は、源氏の異母兄の娘の女三宮ですが。内親王である彼女が、父である朱雀帝の出家後に頼れる男というと源氏しかいないそうです。当時、これといった庇護の無い女性がどうなるかは末摘花の例を見ても明らかなので、「降嫁」という現象が起きるそうです。葵上も気位の高い正妻でしたが、自分より勢力のある女性と関係する源氏が強運でしたたかなのでしょう。

六条御息所は亡くなる際に、源氏が自分の娘の後見人になる事から(※六条御息所は源氏の父の桐壷帝の弟の妃。源氏には亡くなった叔父さんの奥さんになる)、「自分の娘には手を出さないで」と源氏に言ったそうです。死の間際に何を言うんだと思いましたが、これだけ狭い人間関係なので、「世話してやるとか言いながら奥さんの一人にされる」事はあり得ます。

夕顔の娘の玉鬘、藤壺の姪の若紫がそうですが、夕顔も藤壺も源氏がそんないやしい根性で血縁の娘を狙っている事は知らなかったでしょう。六条御息所は勘がいいのか、頭が良過ぎるのか、特に源氏に不幸にされる女性だなと思います。一応、叔母と甥なのに。

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