■クラスや社会に馴染めない子供について書かれた本を読んでました。「社会に馴染む」って子供中心に書かれる事の多いテーマですが、自分も心当たりがあり過ぎて今更読んでみました。真剣なテーマなんですが、以下は南国&PAPUWAについての雑感です。
■最盛期の亜美ちゃんが描いた「敵キャラ」がキンちゃんなら、亜美ちゃんに「巨大組織を背景にした悪役」「強いパワーを持った敵キャラ」等は描けないだろうなと思いました。
そういう組織や敵は「大人」だから。主人公が子供で、敵も子供なら物語になりにくいのでは。子供同士、大人同士の話なんてもっと亜美ちゃん苦手でしょうし。子供を大人が漫画に描く事はあっても、子供が子供を描くのは難しいと思います。
南国でシンタロー最大の敵と言われたキンちゃんの暴れた理由は、「父親の愛を奪う嫌な奴を叩きのめして自分が愛されたい」という物だったと思います。幼い子供そのもの。
マジックから本当に子供として愛されねばならないのはグンマでありコタですが、2人ともマジックから善意で無視されている事実が残酷。(「高松がいるから」「危険だから」「寝てるから」と我が子を気楽に放置する父マジック)
■亜美ちゃんが作品を作る動機の様なものが、生まれたばかりのキンちゃんと同レベルの「自分を見て」というものなら、その後の作品も推して測るべきでしょう。
幸いキンちゃんは、秘石眼を恐れもせず自分に向き合ってくれた高松がいたので、周囲に馴染めるよう努力する事が出来ましたが、亜美ちゃんは高松のそういう面を何とも思っていませんし、むしろ変態の二文字で放り投げています。キンちゃんもただの若いハイスペックイケメンだとしか思っていないでしょう。
何度も書いていてしつこいのですが。「欲しい物が手に入らなくて暴れる子供」だったキンちゃんが、「人の世話をしてあげようと思える大人」になったのは素晴らしい事だと思います。青の一族の人間はそんな事思わないので、多分高松の献身故でしょう。
(※昔の青の一族の場合、秘石眼を持っている大人が、秘石眼を持っている子供を育てたらしいので、子供ながらに親兄弟に畏怖を抱いたかもしれない。ハレ、サビがコタを世話した事はないと思うので、コタは一族でもイレギュラーな育ちだったと思う。グンマは秘石眼を忘れる様に高松に暗示でもかけられたのか。)
■谷崎源氏の、藤裏葉を読み終えたので次は若菜になります。六条院に冷泉・朱雀を迎えた藤裏葉が源氏の絶頂期で、若菜以降は運気が下がるそうです。
運気が下がると言っても、源氏は元気ですし、地位も下がらないはずです。名声も財産もあります。朱雀院が眼病からかさらに体を壊し、女三宮の降嫁、紫の上のおののきと、源氏以外の人間にはカタストロフの連続ですが。
親しい人達が苦しむから、源氏も苦しいのだとも言えますが、朱雀院の出家で内裏から出て来た朧月夜尚侍に再度言い寄る源氏に人の情けはありません。
朧月夜尚侍も一時は源氏に熱を上げ、父親に逢引の現場を見られてもめげなかった女性ですが、朱雀院の真摯な愛情や、源氏との情事の罪か朱雀帝と子供がなせない辛さもあったそうです。「旦那が坊主になって暇だろ」と言わんばかりに言い寄る源氏は人の子でしょうか。 |
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