madeingermany

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...... 2014年09月21日 の日記 ......
■ 承認欲求 ルーザー様の場合   [ NO. 2014092101-1 ]
■谷崎の細雪を読んでいます。長い本なので、読むものを選ぶ余裕のない時はよくこれにします。内容はほとんど覚えているんですが、読む度に印象が変わります。雪子のかたくなさは、浮舟のそれに近いのかなと今回思いました。(そうなると幸子達は「うるさい女房」ポジションなんだろうか?雪子が「不幸なお姫様」なのはよく分かるが。)

男性書くと変態ばかりの谷崎が、古典のスーパーヒーロー源氏を訳すのかと不思議だったのですが。宇治十帖では「ダメ男」達と谷崎の筆がよく合っていた気がします。源氏は完璧な男として訳さないといけないかもしれませんが、女好きの匂宮・変にカッコつけな薫を谷崎が訳すと、大君・中君・浮舟は不幸になるけど、非常に生き生きした源氏になったと思います。

宇治十帖を読むと、谷崎は嫌な男・駄目な男を書かせたら日本一だなと思いました。女性が書く「バカな男」は書き手の母性が混ざってしまいますが、男性の書く「男のだめさ」は容赦ないなと思いました。



■昨日から書いている、承認欲求についてです。ルーザー様の場合、「兄さんの力になって兄弟を守る」事が全てだったので、その設定が崩れていくと高松が何をしても元に戻らないのかなと思います。マジックがルーザー様に「私のためにジャンや親類一同を暗殺してくれてありがとう」と言うはずないから、ルーザー様は長らく幻を見ていたのでしょう。

「兄」「守るべき僕の家族」というのは幻影だったと、ルーザー様は受けれ入れられなかったと思います。気がつけばマジックは自分を切り捨て、見下げ、見捨てているし、ハレも他人の様で、サビはとっくに他人の男のものになっていたとは、耐え難かったでしょう。



もしルーザー様に女性の家族がいたり、普通にクラスメイトと交友があったりしていたら、結果は違っていたのかもしれません。そういう温かみを求められないくらい、まさしくマジックとルーザー様は雄のライオン同士の様に、共存の許されない存在なのかもしれませんが。

ライオンという例えを使うなら。ルーザー様は、マジックと縄張りを共有してはならなかったと思います。ハレやサビの身の上、ガンマ団という財産はあくまでマジックの私物であるのだから、別の雄ライオンであるルーザー様が触ってはいけません。マジックにはルーザー様が「邪魔者」になるでしょうし、結局雄ライオン2頭が生きられるほど、多量のエサを生み出す場所ではないからです。

ルーザー様は寂しいかもしれないけど、マジックの私物に手を出す事は諦め、自分の群れをつくる事を意識した方が救われたかもしれません。無意識にそのつもりで高松を側に置いたり、キンちゃんの誕生を望んだりしたのだと自分は思っています。




■エヴァを見ていると、SFらしい大規模な設定は器で、描きたいのは個人的な話なのかなと思いました。旧劇でシンジにキレ続けるアスカは、シンジが憎いのではなく、シンジに期待しているからだと思いました。

「自分を守って欲しい」「自分を分かって欲しい」という気持ちを、以前のアスカは「優秀なパイロット」である事で片づけようとしましたが、箱根には複数の未成年パイロットがいるわけで、自分自身を見つめ直そうとすると、好きかもしれないシンジにキレ続ける事につながるのかなと。

(ミサトの方が大人の女性として描かれているはずなのに、自分よりはるかに若いアスカに共感するのは、自分がいい年をして子供だからだろうか。)

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