■谷崎の蓼食う虫の作品論集を読み終え、図書館に返して来ました。谷崎関連の書籍はカタルシスが高いです。劇中で作者の寵を受け、拝跪されるに至るヒロイン達が、読み進めると意外と扱いが酷いのも特徴でしょう。
乱菊物語の様に、何故ある時期に未完のものが多いのかと言うと、谷崎の中でイメージが固まっていなかったからだとすれば理解出来ます。源氏以降の谷崎は未完が減り、潤沢な作品をいくつも残しています。谷崎の希求を満たすものが見つかったのでしょう。
谷崎は神童と呼ばれ、若い頃に文壇に登場します。仕事はあるし、結婚して娘も出来て順風満帆と思いきや、人が変わった様な行動をします。仕事と家族があれば幸せなんじゃないかと思いますが、谷崎の希求はとどまる所が無く、憂さ晴らしなのかサディスティックです。
谷崎と言えばマゾヒズムですが、攻撃性が自分に向くのがマゾヒズム、自分以外に向けばサディズムなのだと聞いた事があります。気性の激しい谷崎は両方兼ね備えていたと思います。高松っぽいと言うより、ルーザー様っぽい気がします。
南国では狂暴な悪役みたいなものだったキンちゃんに、サディズムが似合わないのが彼らしいなと思います。キンちゃんに暴力性や攻撃性がなくはないと思うのですが、発露させる程の怒りや憎しみを最近感じないのかもしれません。危ない事するとママが心配しますし。
■サビがジャンを殺したのは、自分だと思い込んだ時の出撃についての雑感です。
・ガンマ団の部隊一個壊滅ってない気がする。敵勢も下し、自軍もジャン一人を「戦死」させるために、ルーザー様が巻き添え的に壊滅させた気がする。
・ルーザー様なら眼魔砲一回でジャン、サビのいた部隊を消す事が出来る。上手くしてサビだけ残す気でいたのだろうけど、ジャンがくっついていて自軍だけ無駄死にさせるところだった。
・総帥の弟なのに自軍をカモフラージュで消すってあるのかと思うけど、ルーザー様ならそうすると思う。昔からそうやって来たし、それがどれくらい嫌悪され、恐れられる行為なのか気にしなそう。そういう役目の人は結構歴史物で見かける。
・ルーザー様がマジックの劣化コピーに思える。マジックは「父の轍を踏まない」とか言って、自軍に辛くあたり兄弟だけいればいいとか言ってたけど、マジックが気が付かないうちに、ルーザー様はそれを真似る様になっていた。マジックはルーザー様がもう一人の自分、しかも汚くて嫌いな面が肥大化した自分に見えて、ルーザー様を嫌っていたかもしれない。
・ルーザー様にしてみれば、兄のする事に綺麗も汚いもなかったと思う。そういう潔さがルーザー様の魅力の一つだったのかもしれない。高松はなんて言うだろう。
・ジャン、サビといて高松が陣営にいない不思議。軍医として従軍していたのなら、ジャンやサビと別行動だった事は考えられるが、サビが「2人だけ残った」と言っているので高松はこの時従軍していないと思われる。
・ルーザー様は正式に従軍していた訳ではないらしい。マジックも総帥自ら出ていく様な戦場ではなかったと思われるので、彼が出向いたのも非公式。
・ルーザー様は何をしに行ったかと言うと、ジャンを殺しに。「お前の彼氏は勇敢に戦って死んだ」とサビに言って聞かせ、赤の一族との接触を完全に断つため。ジャンが赤の一族だってサビに言えばいいだけなんだけど、彼氏にいちゃもんをつけられたと、サビが荒れ狂うだろうからマジックもルーザー様も上手く言えなかったらしい。 |
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