時間があったら荷風の断腸亭日乗をゆっくり読もうと思い、図書館から借りて来て結構経ちました。一日分の日記が一行という日もあるのに、すごいボリュームです。荷風の作品なら中短編が多いと思いますが、荷風の人生そのものが作品の様な気がしてきました。こういう偏屈だけど光る人に憧れてしまいますけれど、そもそも荷風は都会の上流の生まれで知識人の家系、最初から庶民ではないのだとは忘れないで置こうと思います。
南国&PAPUWA雑感です。ナポレオンが帝位についた時、ベートーベンは彼のために作曲した英雄という曲を捧げる事を止めたと聞きます。本当かどうかわかりませんがいい話だと思います。
・高松は南国後グンマに嫌われたと思うが、なら南国で本当に高松とグンマは愛し合っていたのかと言うと、家族的な意味ですら怪しいと思う。家族や好きな人にでも、平気で自衛的にうそをつくのが柴田亜美の漫画なのだが、好きな人が本当の事を言ってくれないって、寂しいと思う。
・高松はグンマを可愛がっていたとされるが、キンちゃんには「貴方のお父様は亡くなりました」なんて悲しくて言えないとしても、グンマには父が健在なのに言ってしまう高松。グンマを無理やりにでも自分と親しくさせておかないと、ルーザー様の縁者として格好がつかないので、どうあっても高グンを押し通す彼に、愛はあるのだろうか。
・非道な高松をグンマは愛したかもしれない。頭のおかしい変態男でも、自分に精一杯尽くしてくれるのは分かる。でも高松が長年封じていた優しさや誠実さ、まともさ、子供の将来を案じる気持ちが、キンちゃんには惜しみなく投じられるのを見ていると、腹が立ったろうなあと思う。
・キンちゃんが復活した事で、有頂天の高松。南国の、いつ死んでもいいと言いたげな不幸そうな顔はどうした。「ルーザー様を失ってうつろな自分なんて、青の一族の子供に誤って殺されればいい」という自暴自棄が、「ルーザー様の忘れ形見がこの世におられるのですから、殺されても死にませんよ」的な気合いに変わったのは、高松の内面における地動説的発見だったと思う。
・マジックは日本人女性と国際結婚し、シンタロー・コタローを授かった。愛する妻の国の習慣でシンタローとの記念日を祝うなど、多忙ながら微笑ましい日々を過ごしていた。いい年したシンタローを公開的に溺愛するのは、それだけ妻と仲がよかったのだという事で解釈していた。
・マジックはコタローの出生と共に妻を失い、精神のバランスを崩した。最愛の妻の死を招いた、コタローとの接し方に戸惑うマジックに、何らかのアプローチをしたいが悩む一方のシンタロー。父の大切している青い秘石を盗み出す事によって、父に本当に大切なのは何であるのか、訴えようとするシンタロー。
・・・と言うのを結構いい年まで信じていたけど、全然違ったらしい。シンタロー、コタ、グンマの出生は漫画エヴァのアスカと同じらしい。キンちゃんも同じ。キンちゃんには何故か父の側に自分を愛してくれる高松がいるけど、基本従兄弟達と変わらない生まれ。
・南国の四季の描写とか何だったのだろうと思う。クリスマスくらい世界規模のイベントならまだしも、端午の節句とか東アジア限定過ぎる。せめてダンスパーティー、誕生日会くらいの曖昧なイベントであれば受容可能だけど、PAPUWAでは雰囲気づくりにもなっていないと思う。
・PAPUWAは5〜7冊くらいで完結し、最後はマジックやグンマが作ったカレーで、コタのお帰りパーティーにしてほしかった。でも、キン高で残業後にレトルトカレーで夜食とかいう妄想を可能にしてくれるPAPUWAには感謝している。 |
|