■荷風の断腸亭日乗を読んでいます。抜粋ではなく完全版を読んでいるので時間はかかりますが、世情も描き込まれながらの一日一日で、読んでいて充実を覚えます。日乗で株連蔓引と言う言葉を初めて知りました。荷風はこいう所が、ただのおじさんでない所かなと思います。意味は芋づる式との事ですが、高校の頃芋づる式と言う言葉は効きましたが、株連蔓引は教わらなかった気がします。
■グンマとルーザー様は天才型、キンちゃんと高松は努力肌かなと思います。
ルーザー様の場合、自分で築いた科学者としての功績は放り出してよかったのかと思いますが、天才故に得たものなら、兄に見向きもされなくなった時点で手放してしまいそうです。グンマも、天才故に乗り切っている場面も多いと思いますが、あんまり執着の無い子に思えます。
高松は何事も積み上げる方だと思います。キンちゃんもひらめく事はひらめくけど、ドジる事も多いので、科学者として育ててくれた高松に似て、辛抱強く生きる子でしょう。キンちゃんと高松にだけ分かる言語があると思います。
(※ならルーザー様とグンマは天才型同士、分かり合うのかと言うと、自分には分からない。グンマが兄の子である時点で、ルーザー様は思考停止すると思う。甥に沈黙のルーザー様と、叔父が怖いグンマを、懸命になだめる幼いキンちゃんとママ高松が想像されてならない。)
■テレビの視聴率を上げるには、子供と動物を出す事だそうです。可愛いから癒されるという理由だと思いますが、いずれも弱く守らねばならない存在で、そんな弱い側の相手に酷いことをするなんて、テレビや二次元であっても想定外だからとも言えます。
・・・よもや、「子供の世話も飼い犬の世話も、命令されているから仕方なくする」「言い寄ってくる女性は小柄な美少女でないと嫌」「元の上司にも同僚にも嫌悪感で一杯」「周囲の動植物を自分より劣ったものと見なす」なんて状態が、視聴者というか読者を喜ばせるものとは言えないかもしれません。
子供と動物がテレビ的に「受ける」のは、彼等を愛してくれる人が側にいるからじゃないかなと思います。見たいのは子供、動物単体でなく、彼等を取り巻く大人達の真剣な姿なのでは。
■ルザ高&キンタロー坊ちゃんの妄想です。ルーザー様はご存命で20代後半、高松は20代前半、キンちゃんはそのまま成長して初等部入学前のイメージです。
青の一族にはミツヤやコタ、ルーザー様の様な人が出て・・と劇中で言われますが、誰かと愛し合った訳でもなく、ただ増やすためだけに子供を得た場合、やはり子供を可愛がる事が出来なくて、何らかの結果を生むのだろうと思います。
一族の中の休まらない不安のせいだと思いますが、原作者に「好きな人と家族になり、新しい家族を得る」という温かいイメージが沸かないなら、同じ事の繰り返しになるでしょう。
■専門のベビーシッターとコックを雇って、高松に適宜監督してもらう予定だったルーザー様。ここまでは、昔のいじめっ子が自分の弟や妹の世話を、いじめられっ子に無理矢理やらせる構図に似ていなくない。
どういうわけか、特段、育児や家事のプロを家であまり見かけないまま、日本人式にキンちゃんを世話し出す高松。おんぶに抱っこ、添い寝、膝枕、腕枕、一緒にぬるめのお風呂に入る、自分の食べているものをちぎって食べさせるなど、スキンシップのオンパレード。
■ツンデレ(ヤンデレ?)の高松の、あり得ない姿に当惑するルーザー様。自分達兄弟は、ずっと揺りかごで育ったし、抱っこされるのは押さえつけられる時くらいだった気がする。キンちゃんは高松の抱っこが好きな様だし、とりわけ用がなくても2人は一緒にいる。
(マジック、ルーザー様を育てたのは父の親類が用意したプロ。ハレ、サビも同じようなものだったけど、他人に自分のテリトリーを侵害された様に感じたマジックが、父に弟は僕が面倒を見ると宣言したんじゃないかと思う。父は兄弟愛として受け止めたと思うが、マジックの権力欲の萌芽だったと思う。
ルーザー様を通じて、他人が一族の権力を奪いに来る事も考えられたから、ルーザー様には兄の愛を語っておいて、ルーザー様を周囲から更に孤立させたのではと思う。ルーザー様は素直に兄を信じてしまうし、他人に弟達を触れさせない事が兄の愛だと勘違いしてしまうのでは。)
■高松が学内の会議に、キンちゃんを連れて参加したのには何か言うべきだろうと思ったが、案外他の職員からキンちゃんが優しくされるし、キンちゃんが泣いたり暴れたりしないので、何か言う機会がなかった。
自分とは四六時中肌を触れ合う事なんてなかったのに、自分の息子とは離れられないとはどういう訳だと、若干ご立腹のルーザー様。川の字で寝る日もあるが、高松のキンちゃんに対する教育には、父を敬う事も織り込み済みらしく、父子関係も悪くないのでそのまま。 |
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